一 上告状についての印紙追貼命令およびこれに従わないことによる上告状却下命令に対する不服は、民訴法所定の手続によるべく、審級の定めから上訴による不服申立のみちがない場合においても、行政事件訴訟をもつてその救済を求めることは許されない。 二 訴を不適法でその欠缺を補正しがたいものと認め民訴法第二〇二条により口頭弁論を経ないで却下した第一審判決に対し、控訴のあつた場合において、右原審の判断を相当とするときは、控訴審においても、口頭弁論を経ないで控訴を棄却することができる。
一 印紙追貼命令およびこれに従わないことによる上告状却下命令に対する救済を行政事件訴訟によつて求めることの許否 二 控訴審において民訴法第二〇二条によつた原判決を相当として口頭弁論を経ることなく控訴を棄却することの許否
民訴法397条,民訴法370条,民訴法228条,民訴法378条,民訴法202条,行訴法3条
判旨
裁判長による上告状却下命令は民事訴訟法に基づく裁判作用であり、その不服申立ては民事訴訟手続によるべきであって、行政事件訴訟をもって取り消しを求めることはできない。また、上告状却下命令に対して最高裁判所への抗告が認められない現行制度は、立法府の裁量の範囲内であり憲法32条に違反しない。
問題の所在(論点)
1. 裁判長による上告状却下命令に対し、行政事件訴訟法に基づく取消訴訟を提起できるか。 2. 上告状却下命令に対して抗告できない民事訴訟法の仕組みは、憲法32条(裁判を受ける権利)に違反するか。 3. 手数料(印紙)の納付により、裁判所は不適法な訴えに対しても実体判決を行う義務を負うか。
規範
裁判所または裁判長が行う裁判作用としての処分については、民事訴訟法等の定める不服申立手続によるべきであり、行政事件訴訟法に基づく抗告訴訟の対象とはならない。また、不服申立の審級制度は、憲法81条が直接定める場合を除き、立法の合理的裁量に委ねられており、特定の処分に対する抗告が制限されていても直ちに裁判を受ける権利(憲法32条)を侵害するものではない。
事件番号: 昭和38(オ)1306 / 裁判年月日: 昭和41年4月14日 / 結論: 棄却
上告状についての印紙追貼命令およびこれに関連する措置等に対する救済は、民事訴訟法所定の不服申立方法によるべく、審級その他の定めから上訴による不服申立のみちのない場合においても、これに裁判所法第八二条に基づく司法行政監督上の措置を求めることはできない。
重要事実
上告人は、上告状に貼付した印紙額が不足していたため、裁判長から補正命令を受けたがこれに応じなかった。その結果、裁判長は民事訴訟法に基づき上告状却下命令を発した。上告人は、この却下命令の取消しを求めて行政事件訴訟を提起し、あわせて国に対する損害賠償を請求した。上告人は、上告状却下命令に対し最高裁判所に抗告できない制度は憲法32条に反し、また手数料としての印紙を納付した以上、裁判所は実体判決を行う義務を負うと主張した。
あてはめ
1. 上告状却下命令は民事訴訟法に基づき、裁判長の上告状審査権限という裁判作用として行われたものである。したがって、これに対する不服は民事訴訟法の定める手続によるべきであり、行政処分を対象とする行政事件訴訟の提起は許されない。 2. 最高裁判所への抗告を認めない点は審級制度の設計に関わる立法政策の問題であり、憲法が立法府に委ねた裁量の範囲内である。別訴による救済が認められなくとも憲法32条違反とはいえない。 3. 訴訟のための印紙貼用は司法上の手数料納付に過ぎず、法定額の納付があれば裁判所は法令に従い審理を行うが、不適法な訴えに対してまで実体判決を行う義務を課すものではない。
結論
本件取消訴訟は不適法であり、上告状却下命令に対する憲法違反の主張や実体判決義務の主張も理由がないため、上告を棄却する。
実務上の射程
裁判所による裁判作用(本案判決のみならず、裁判長による形式的な却下命令等も含む)の取消しを行政訴訟で争うことはできないという原則を確認した判例。行政処分性の有無や司法権の独立、審級制度の合理的な制限を論ずる際の論拠となる。
事件番号: 昭和39(行ツ)22 / 裁判年月日: 昭和41年3月31日 / 結論: 棄却
宗教法人法第一四条による規則認証のための所轄庁の審査は、その審査事項につき証明書類が存するにしても、その証明事実の存否に理由ある疑をもつ場合には、その解明のために事実の調査をすることを妨げず、裁判所においても、証明書類中に証明に適切でないものあるいは証明事実の存否を疑うに足りる理由があると認めるのを相当とするものがある…