上告状についての印紙追貼命令およびこれに関連する措置等に対する救済は、民事訴訟法所定の不服申立方法によるべく、審級その他の定めから上訴による不服申立のみちのない場合においても、これに裁判所法第八二条に基づく司法行政監督上の措置を求めることはできない。
印紙追貼命令およびこれに関連する措置等に対する救済を裁判所法第八二条によつて求めることの許否
民訴法397条,民訴法370条,民訴法228条,裁判所法82条
判旨
裁判長による印紙追貼命令等の措置は司法行政事務ではなく、本案審判に付随する形式的な民事訴訟手続である。したがって、これに対する不服申立ては民事訴訟法上の手続によるべきであり、司法行政監督上の措置や行政訴訟による取消しを求めることはできない。
問題の所在(論点)
裁判長による印紙追貼命令等の措置は司法行政上の事務に該当するか。また、当該措置やそれに対する監督上の措置の拒否について、行政訴訟による取消しを求める法律上の利益が認められるか。
規範
1. 訴訟用印紙の貼用額の相当性は、裁判機関が訴え等の申立要件として審査すべき事項であり、司法行政上の事務には当たらない。2. 民事訴訟手続内の処分については、原則として当該手続内の不服申立方法によるべきであり、別個に司法行政監督権(裁判所法82条)の行使を求める権利は認められない。3. 司法行政監督上の措置を拒否する通知は、申立人の権利・利益を侵害するものではなく、行政事件訴訟法上の処分性および訴えの利益を欠く。
重要事実
上告人は、上告受理裁判所の裁判長から受けた印紙追貼の補正命令を違法であると主張した。上告人は、この命令が司法行政上の事務に属すると解し、裁判所法82条に基づく司法行政監督上の措置として命令の取消し等を求めたが、被上告人(裁判所当局)が「監督事項ではない」として審査を拒否したため、その取消し等を求めて行政訴訟を提起した。
事件番号: 昭和38(オ)969 / 裁判年月日: 昭和41年4月15日 / 結論: 棄却
一 上告状についての印紙追貼命令およびこれに従わないことによる上告状却下命令に対する不服は、民訴法所定の手続によるべく、審級の定めから上訴による不服申立のみちがない場合においても、行政事件訴訟をもつてその救済を求めることは許されない。 二 訴を不適法でその欠缺を補正しがたいものと認め民訴法第二〇二条により口頭弁論を経な…
あてはめ
まず、印紙の貼用は裁判作用を発動させるための要件であり、その審査は裁判機関の権限に属する民事訴訟手続そのものである。本件命令も司法行政事務ではなく訴訟手続の一部であるから、不服がある場合は民訴法上の不服申立手続によるべきである。次に、裁判所法82条は一般国民に監督権の発動を求める具体的権利を付与したものではない。したがって、被上告人が監督措置を拒否したとしても、上告人の法的権利を侵害したとはいえず、行政訴訟を提起する法律上の利益も認められない。これは憲法32条(裁判を受ける権利)に反するものではない。
結論
印紙追貼命令は訴訟手続内の処分であり、司法行政監督や行政訴訟の対象とはならない。したがって、本件行政訴訟は訴えの利益を欠き、却下を免れない。
実務上の射程
裁判所や裁判官が行う行為が「裁判(訴訟手続)」か「司法行政」かの区別に関する基礎判例。訴訟手続内の事項については、たとえ上訴等の不服申立手段が尽きている場合であっても、司法行政監督や行政訴訟という別ルートでの救済は認められないという遮断効を示す。答案上は、処分性や訴えの利益、裁判を受ける権利の限界を論じる際の参照として活用できる。
事件番号: 昭和39(行ツ)22 / 裁判年月日: 昭和41年3月31日 / 結論: 棄却
宗教法人法第一四条による規則認証のための所轄庁の審査は、その審査事項につき証明書類が存するにしても、その証明事実の存否に理由ある疑をもつ場合には、その解明のために事実の調査をすることを妨げず、裁判所においても、証明書類中に証明に適切でないものあるいは証明事実の存否を疑うに足りる理由があると認めるのを相当とするものがある…