刑事判決で旧関税法(昭和二九年法律第六一号による改正前)第八三条第三項によつて追徴していない場合でも、同条第四項によつて関税を徴収することができる
旧関税法(昭和二九年法律第六一号による改正前)第八三条第三項による追徴のない場合の同条第四項による関税徴収の可否
旧関税法(昭和29年法律61号による改正前)83条
判旨
刑事裁判において没収に代わる追徴がなされなかった場合であっても、既になされた輸入貨物に対する国の関税徴収権が消滅するわけではなく、関税法に基づく徴収通告は適法に行うことができる。
問題の所在(論点)
刑事裁判において追徴が付加されなかった場合、行政庁による関税法(昭和29年改正前)83条4項に基づく関税の徴収通告は違法あるいは無効となるか。
規範
刑事罰としての追徴(旧関税法83条3項)は没収に代わる原価相当額の剥奪であるのに対し、関税の徴収(同条4項)は貨物の輸入に伴い発生する公法上の租税債権の行使である。両者は性質を異にする別個の制度であり、刑事上の追徴の成否は、既発生の関税徴収権の行使を制約するものではない。
重要事実
上告人は、関税法違反の刑事裁判において追徴の言い渡しを受けなかった。しかし、行政庁は旧関税法83条4項に基づき、当該輸入貨物に係る関税の徴収通告を行った。これに対し上告人が、刑事判決で追徴がない以上は徴収通告をなすべきではないとして、処分の無効を訴えた事案である。
あてはめ
本件における追徴は、没収すべきものの原価に相当する刑事罰であり、一方で徴収通告の対象となっているのは輸入貨物自体に課される関税である。両者は法律上の根拠及び目的を異にする別個の請求権であるから、刑事判決において追徴がなされなかったという事実のみをもって、国の関税徴収権が否定される合理的な理由は存在しない。したがって、刑事手続の結果にかかわらず関税徴収権は存続し、これを行使する徴収通告に違法はない。
結論
刑事判決で追徴が付加されなかったとしても、輸入された貨物に対する国の関税徴収権がなくなるものではなく、本件徴収通告は適法である。
実務上の射程
租税債権と刑事罰(没収・追徴)の非代替性・併存性を示す判例として、行政法及び租税法の文脈で活用できる。刑事上の不利益処分が行われないことが、直ちに行政上の課税処分の制限に繋がるわけではないという論理構成として有用である。
事件番号: 昭和33(オ)1001 / 裁判年月日: 昭和35年9月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公文書であっても、その成立の真正(形式的証拠力)と内容の真実性(実質的証拠力)は別個の問題であり、裁判所は他の証拠と照らして公文書の記載内容を排斥することができる。 第1 事案の概要:上告人らは、小作台帳等の公文書(甲第9号証等)に基づき、買収対象地以外に所有する小作地の面積を主張した。しかし、農…