普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否は,司法審査の対象となる。 (補足意見がある。)
普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰と司法審査
裁判所法3条1項,地方自治法134条1項,地方自治法135条1項3号,憲法92条,憲法93条
判旨
普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否は、司法審査の対象となる。
問題の所在(論点)
普通地方公共団体の議会が行う議員に対する出席停止の懲罰の適否が、司法審査の対象(裁判所法3条1項の「法律上の争訟」)に含まれるか。特に、出席停止が議員報酬の減額を伴わない場合であっても司法審査が可能かが問われた(昭和35年大法廷判決の判例変更の是非)。
規範
出席停止の懲罰は、議員の権利行使の一時的制限に留まるものではなく、議員としての活動や住民の負託を受けた責務の遂行に対する重大な制約を伴うものである。したがって、議会の自律的な権能に基づく裁量を尊重しつつも、裁判所は常にその適否を判断することができると解すべきである。
重要事実
岩沼市議会議員であった被上告人は、同僚議員の懲罰に対する「政治的妥協である」旨の発言(本件発言)を理由として、市議会から23日間の出席停止の懲罰を受けた。本件処分に伴い、市条例に基づき議員報酬が約27万円減額された。被上告人は処分の取消しと減額分の報酬支払を求めて提訴した。
あてはめ
出席停止の懲罰は、住民の代表である議員に対し、議事への参与や議決への加担といった「中核的な活動」を停止させるものである。これは議員の責務を果たすことを不可能にする重い制約であり、単なる内部規律の問題として議会の自律的解決に委ねることは妥当ではない。性質上、法令の適用によって終局的に解決し得るものであり、司法権の行使を控えるべき対象ではない。したがって、報酬減額の有無にかかわらず、裁判所は常にその適否を判断し得ると評価される。
結論
出席停止の懲罰の適否は司法審査の対象となる。昭和35年大法廷判決を変更し、本件訴えを適法とした原審の結論を維持する。
実務上の射程
地方議会議員の懲罰のうち、「除名」に加え「出席停止」についても司法審査が及ぶことが確定した。一方で、実体判断においては議会の裁量が認められ、裁量権の逸脱・濫用がある場合に限り違法となると解される(自律権の尊重は裁量審査の場面で考慮される)。
事件番号: 平成29(行ヒ)216 / 裁判年月日: 平成30年4月26日 / 結論: 破棄自判
愛知県議会議長の同県議会議員に対する発言の取消命令の適否は,司法審査の対象とはならない。
事件番号: 平成29(行ヒ)320 / 裁判年月日: 平成30年11月6日 / 結論: 破棄自判
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