地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰議決の適否は裁判権の外にある。
地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰議決と裁判権。
裁判所法3条,地方自治法134条,地方自治法135条
判旨
地方議会議員に対する出席停止処分は、議員の権利行使の一時的制限にすぎない内部規律の問題であるため、司法審査の対象とならない。
問題の所在(論点)
地方議会議員に対する出席停止処分は、裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」として司法審査の対象となるか。出席停止処分が、議員の身分喪失を伴う「除名処分」と同様に扱われるべきかが問題となる。
規範
裁判所法3条にいう「一切の法律上の争訟」であっても、事柄の特質上、司法裁判の対象外とするのが相当なものがある。自律的な法規範を持つ社会や団体においては、内部規律の問題として自治的措置に委ねるべきものがあるからである。具体的には、団体の構成員の身分喪失に関する重大事項でない限り、単なる内部規律の問題として司法審査は及ばない。
重要事実
地方議会の議員(上告人)が、議会において出席停止の懲罰決議を受けた。これに対し、上告人は当該決議の無効確認および取消を求めて出訴した。
あてはめ
事件番号: 平成30(行ヒ)417 / 裁判年月日: 令和2年11月25日 / 結論: 棄却
普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否は,司法審査の対象となる。 (補足意見がある。)
議員の除名処分は、議員の身分の喪失に関する重大事項であり、単なる内部規律の問題に止まらないため、司法審査の対象となる。これに対し、本件出席停止処分は、議員の権利行使の一時的な制限にすぎない。このような処分は、自律的な法規範をもつ自治団体の内部規律の問題として、その自治的措置に委ねるのが適当である。したがって、本件は司法審査の対象外である「事柄の特質上司法裁判の対象の外におくを相当とするもの」に該当する。
結論
本件出席停止処分の無効または取消を求める訴えは、司法審査の対象とならず、不適法として却下されるべきである。
実務上の射程
自律的団体(部分社会)の内部規律に関する司法審査の可否を判断する際のリーディングケースである。本判決の論理によれば、権利制限が一時的・軽微であれば内部規律として司法審査を否定するが、後に「部分社会の法理」として発展し、一般市民法秩序と直接の関連を有するか否かが基準となった。なお、令和2年11月25日大法廷判決により、本判決の「出席停止は司法審査の対象外」とする結論部分は変更され、現在は出席停止も司法審査の対象となり得る点に注意が必要である。
事件番号: 平成29(行ヒ)216 / 裁判年月日: 平成30年4月26日 / 結論: 破棄自判
愛知県議会議長の同県議会議員に対する発言の取消命令の適否は,司法審査の対象とはならない。
事件番号: 昭和34(オ)940 / 裁判年月日: 昭和35年3月4日 / 結論: その他
町議会の除名処分(昭和三一年法律第一四七号による地方自治法の改正後になされた処分)に対する出訴については、県知事に対する訴願の裁決を経由すべきものである。
事件番号: 昭和34(オ)851 / 裁判年月日: 昭和36年4月27日 / 結論: その他
教育委員会法(昭和二三年法律第一七〇号)第三四条第四項但書にいう「急施を要する場合」とは付議すべき事件の性質が、同条本文に定める三日の期間経過後に議決するのでは議決の実効を収め得ない程度に緊急性を有する場合にかぎると解すべきではなく、会議の招集権者は、この点の判断についてはその当時における客観的情勢その他諸般の事情から…