町議会議員の議会における発言の内容が、議会に対する協力の態度を欠き不徳の誹を免れない場合でも、原判決認定程度の発言を理由にその議員を除名することは違法である。
町議会議員除名議決が違法とされた事例。
地方自治法134条,地方自治法135条
判旨
地方議会議員に対する除名処分は、議員の発言内容が議会の体面を汚す情状が特に重い場合や、議場の秩序を著しく乱す等の法的要件を充足する場合に限り許容される。本件のような発言の翻意や事実の否定は不徳ではあるが、直ちに除名事由には該当せず、当該処分は裁量権の範囲を逸脱し違法である。
問題の所在(論点)
議員が議会における発言において、一度承諾した解決案を翻し、かつ過去の事実関係を否定する態度をとったことが、地方自治法129条、131条〜133条、および会議規則上の除名事由(議会の冒涜・体面汚損・情状の重さ)に該当するか。また、そのような処分が司法審査の対象として違法とされるか。
規範
地方自治法に基づく議員の除名処分が適法となるためには、同法129条(議場の秩序維持)、131条(会議の妨害禁止)、132条(無礼の言葉の禁止)、133条(議員の侮辱禁止)等の各条項、または会議規則が定める「議会を冒涜し、その体面を汚すもので、かつその情状が特に重いもの」という要件を具体的に充足する必要がある。これらの要件に該当しない事実に基づき除名を行うことは、裁量の範囲を逸脱したものとして許されない。
重要事実
町議会議員である上告人は、町との立木売買契約に関し、契約範囲外の伐採問題を巡る解決案(町が賃金の一部を負担する案)を一度は承諾した。しかし、その後の臨時議会において、突如として「解決案の責任は負えない、賃金は町が支払うべきだ」とする文書を提出。さらに議員としての弁明の際、反省の色なく「範囲外の伐採をした覚えはない」等と発言し、過去の合意を覆した。これに対し町議会は、当該発言が議会を冒涜し体面を汚すもので情状が特に重いとして、上告人を除名する議決を行った。
事件番号: 昭和49(行ツ)53 / 裁判年月日: 昭和49年12月23日 / 結論: 破棄自判
候補者中に藤本俊夫と藤本利雄とがある場合に、右両者は、互いに混同を避けるため、選挙運動において、前者は「藤本とし夫」と記載するよう、後者は「ふじもと利お」と記載するよう、それぞれその氏名の表示方法を選挙人に鋭意宣伝し、その効果は投票結果にも相当にあらわれていたなど判示のような事情があるときは、「藤本よし夫」と記載された…
あてはめ
上告人の態度は、議会が解決に向け腐心した努力を台無しにするものであり、議員として議会への協力態度を欠き「不徳」との批判は免れない。しかし、その発言の内容は、自らの責任を否定し主張を翻すにとどまる。これは、議場の秩序を乱したり(129条)、会議を妨害したり(131条)、無礼な言葉・他人の私生活にわたる言論を行ったり(132条)、議員を侮辱したり(133条)するものとは認められない。したがって、会議規則にいう「議会を冒涜し体面を汚すもので情状が特に重い」という要件を充足するほどの重大な事由があるとは到底認められない。
結論
本件除名議決は、法令および会議規則が定める除名事由を欠くものであり、違法として取り消されるべきである。
実務上の射程
議員の除名処分は、議員の身分を奪う重大な不利益処分であるため、その要件充足性は厳格に判断される。議会側の主観的な「不徳」や「不協力」といった評価だけでは足りず、議事進行への実質的な支障や、具体的・客観的な秩序乱立の事実が必要であることを示しており、裁量権行使の限界を画する実務上の指針となる。
事件番号: 昭和32(オ)762 / 裁判年月日: 昭和32年10月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不法占有者に対する明渡請求等において、被告の占有が継続している事実が認定される以上、被告による「占有の代理」の主張は、それが単なる名称の変更(通称の使用)に過ぎず、占有の主体自体が別人格であることを意味しない場合には、占有の断絶を理由とする抗弁として採用し得ない。 第1 事案の概要:上告人(原告)…
事件番号: 昭和43(行ツ)132 / 裁判年月日: 昭和44年6月26日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和33(オ)405 / 裁判年月日: 昭和33年8月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】補充選挙人名簿の調製手続に重大な違法があり同名簿が無効となる場合、たとえ基本選挙人名簿が有効であっても、その選挙区における選挙は全部無効となる。また、この違法は選挙の結果に異動を及ぼすおそれがあるものとして、公職選挙法205条1項に基づき選挙無効の原因となる。 第1 事案の概要:町議会議員選挙にお…