地方公務員法三七条一項は、憲法二八条に違反しない。 (補足意見がある。)
地方公務員法三七条一項と憲法二八条
地方公務員法37条1項、憲法28条
判旨
地方公務員の争議行為を一律に禁止する地方公務員法37条1項は憲法28条に違反せず、同条違反を理由とする懲戒処分は、社会観念上著しく妥当を欠き裁量権を逸脱・濫用したと認められない限り有効である。
問題の所在(論点)
1. 地方公務員法37条1項の争議行為禁止規定の合憲性。 2. 争議行為を行った公務員に対する懲戒処分が、裁量権の逸脱・濫用として違法となるか。
規範
1. 地方公務員法37条1項による争議行為の一律禁止は、憲法28条に違反しない。 2. 公務員の懲戒処分について、懲戒事由がある場合に処分を行うか否か、またはいかなる処分を選択するかは、懲戒権者の裁量に委ねられる。当該処分が社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権を付与した目的を逸脱・濫用したと認められる場合でない限り、その処分は適法となる。
重要事実
地方公務員である上告人らが、地方公務員法37条1項に違反して争議行為(本件各争議行為)に参加した。これに対し、任命権者が懲戒処分を行った。上告人らは、同条の争議行為禁止規定が憲法28条に違反すること、および代償措置が本来の機能を喪失していたことを理由に、処分の違法性を主張して争った。また、過去の「5・13統一行動」への参加を理由とする訓告の事実を処分の判断材料としたことの妥当性も争点となった。
あてはめ
1. 地方公務員法37条1項の規定が合憲であることは判例(全農林警職法事件等)の示すところであり、本件においても代償措置が本来の機能を喪失していたとは認められないため、同条違反の成立は正当である。 2. 上告人らに対する各懲戒処分について、事実関係に照らせば、社会観念上著しく妥当を欠くものとはいえない。また、年次有給休暇に名を借りた同盟罷業(5・13統一行動)による訓告歴を考慮した点についても、裁量権の範囲内にとどまる。したがって、裁量権の逸脱・濫用は認められない。
結論
本件各懲戒処分は、懲戒権者の裁量権の範囲内にあるものとして適法である。地方公務員法37条1項は合憲であり、これに違反した争議行為を理由とする処分は正当化される。
実務上の射程
地方公務員の労働基本権制限に関する合憲性判定において、刑事罰の場面だけでなく懲戒処分の場面でも一律禁止の合憲性を維持する射程を持つ。答案上は、公務員の争議行為禁止の合憲性を前提とした上で、個別処分の違法性を「裁量権の逸脱・濫用」の枠組み(著しい妥当性の欠如)で検討する際の標準的な規範として活用できる。
事件番号: 昭和59(行ツ)36 / 裁判年月日: 平成元年4月25日 / 結論: 棄却
一 地方公営企業労働関係法一一条一項は、同法附則四項により地方公営企業職員以外の単純な労務に雇用される一般職の地方公務員に準用される場合を含めて、憲法二八条に違反しない。 二 市の市長部局各部門、教育委員会で多数の職員が参加して約一時間の職場放棄を行い、市立の二病院で多数の職員が参加して二四時間の同盟罷業を行つたなどの…
事件番号: 昭和57(行ツ)131 / 裁判年月日: 昭和63年12月9日 / 結論: 棄却
地方公営企業労働関係法附則四項により地方公営企業職員以外の単純な労務に雇用される一般職の地方公務員に準用される同法一一条一項は、憲法二八条に違反しない。