地方公営企業労働関係法附則四項により地方公営企業職員以外の単純な労務に雇用される一般職の地方公務員に準用される同法一一条一項は、憲法二八条に違反しない。
地方公営企業労働関係法附則四項により地方公営企業職員以外の単純な労務に雇用される一般職の地方公務員に準用される同法一一条一項と憲法二八条
地方公営企業労働関係法11条1項,地方公営企業労働関係法附則4項,憲法28条
判旨
地方公務員のうち単純労務職員に対し、一律に争議行為を禁止する地公労法11条1項の規定は、勤務条件決定の法理や職務の公共性、および適切な代償措置の存在に照らし、憲法28条に違反しない。
問題の所在(論点)
地公労法附則4項により単純労務職員に準用される同法11条1項の争議行為禁止規定は、憲法28条に違反するか。
規範
公務員の争議権制限の合憲性は、①勤務条件が議会で決定される「勤務条件決定の法理」の妥当性、②事業の公共性と市場抑制力の欠如、③業務停止による国民・住民の共同利益への悪影響、④代償措置の有無・内容の4点から判断される。
重要事実
単純労務職員(一般職地方公務員のうち単純な労務に雇用される者)に対し、地方公営企業労働関係法(地公労法)附則4項により、同法11条1項の争議行為禁止規定が準用されている。同条に違反した者には、解雇等の不利益処分が規定されているが、特別な罰則(刑事罰)は設けられていない。上告人らは、この一律の禁止規定が憲法28条に違反すると主張した。
あてはめ
まず、地方公務員の勤務条件は法律・条例・予算に基づき決定されるため、私企業のような争議権による勤務条件決定の機能は発揮しにくい。次に、当該業務は住民福祉を目的とし市場抑制力がないため、争議権が適切に機能しない自明の理がある。さらに、住民全体への労務提供義務を負うため、業務停止は地域住民の生活や国民の共同利益に悪影響を及ぼす。最後に、身分保障に加え、労働委員会による強制調停・強制仲裁制度、仲裁裁定の実施努力義務等の相応の代償措置が講じられており、不十分とはいえない。
結論
地公労法附則4項により準用される同法11条1項の規定は、憲法28条に違反しない。
実務上の射程
全農林警職法事件や名古屋中郵事件の法理を、単純労務職員(現業公務員)に維持・適用した判例である。答案上は、職種や職務内容による制限の程度の差(合目的性・合理性)を論じる際、上記4要素を枠組みとして用いる。
事件番号: 昭和52(行ツ)81 / 裁判年月日: 昭和53年9月7日 / 結論: 棄却
(省略)
事件番号: 昭和59(行ツ)36 / 裁判年月日: 平成元年4月25日 / 結論: 棄却
一 地方公営企業労働関係法一一条一項は、同法附則四項により地方公営企業職員以外の単純な労務に雇用される一般職の地方公務員に準用される場合を含めて、憲法二八条に違反しない。 二 市の市長部局各部門、教育委員会で多数の職員が参加して約一時間の職場放棄を行い、市立の二病院で多数の職員が参加して二四時間の同盟罷業を行つたなどの…
事件番号: 昭和56(行ツ)37 / 裁判年月日: 昭和63年12月8日 / 結論: 棄却
地方公営企業労働関係法一一条一項は、憲法二八条に違反しない。