一 郵政職員が公共企業体等労働関係法一七条一項に違反する争議行為を行つた場合には、国家公務員法八二条の規定による懲戒処分の対象とされることを免れない。 二 郵政職員がいわゆる春闘の際に郵便局の職場全体で大規模にしかも当局の再三の警告を無視して業務阻害の結果を生ずるストライキを実施させるなどの違法行為を行つた判示の事実関係のもとでは、右違法行為を理由として右職員に対してされた懲戒免職処分は、懲戒権者に任された裁量権の範囲を超えたものということはできない。
一 郵政職員が公共企業体等労働関係法一七条一違反の争議行為を行つた場合と国家公務員法八二条の規定による懲戒処分 二 いわゆる春闘の際に郵便局におけるストライキを実施させるなどの違法行為をしたことを理由としてされた郵政職員に対する懲戒免職処分が懲戒権者に任された裁量権の範囲を超えたものとはいえないとされた事例
公共企業体等労働関係法17条1項,国家公務員法82条,国家公務員法98条1項,国家公務員法99条,国家公務員法101条1項
判旨
公共企業体等の職員による争議行為は、公労法17条1項により全面的に禁止されており、これに違反する行為は国家公務員法上の懲戒事由に該当する。懲戒免職処分の適法性は、行為の性質・態様や業務への影響、過去の処分歴等を総合考慮し、社会観念上著しく妥当を欠くか否かによって判断される。
問題の所在(論点)
公共企業体等の職員による争議行為について、国公法上の懲戒処分の対象となるか、また、一連の争議行為・組合活動を理由とする免職処分が懲戒権の裁量権を逸脱・濫用したものとして違法となるか。
規範
1. 公労法17条1項は、公共企業体等の職員の争議行為を全面的に禁止しており、これに違反する行為は国公法82条の懲戒事由に該当する。2. 労働組合法7条1号(不当労働行為)の「正当な行為」という概念が介在する余地はない。3. 懲戒権の行使は、社会観念上著しく妥当を欠き裁量権を濫用したと認められない限り違法とはならない。
重要事実
郵政職員であり組合の執行委員長であった上告人は、賃上げ等の要求を掲げ、当局の警告を無視して複数の郵便局でストライキを指導・実施した。また、郵政局庁舎内において、管理者の制止を無視した大量のステッカー貼付、集団での示威行進、座り込み等の行為を主導し、郵便業務や窓口業務に遅延・停滞等の障害を生じさせた。上告人には過去7回の停職処分歴があったため、当局はこれらを理由に免職処分とした。
あてはめ
本件ストライキは公労法17条1項に違反し、庁舎内での粗暴な示威行進等は官職の信用を傷つける行為として国公法99条等に違反する。処分量定について、業務阻害の結果が軽視できず、行為の態様も著しく粗暴かつ喧騒である。他の執行委員長が停職に留まっている点については、上告人の行為にはステッカー貼付や座り込み等の付随的行為が含まれ責任がより重い。加えて過去7回の処分歴があることは、奉仕者としての自覚の欠如を示す。したがって、指令に従った側面を考慮しても、免職が著しく妥当性を欠くとはいえない。
結論
本件免職処分は懲戒権者の裁量権の範囲内であり、適法である。
実務上の射程
公務員の争議行為禁止の合憲性を前提としつつ、懲戒処分の可否とその裁量審査の枠組みを示す。特に「ストライキ自体の違法性」に加え、「態様の悪質性」や「過去の懲戒歴」が免職の正当化要素として重視される点に注意が必要である。
事件番号: 昭和61(行ツ)33 / 裁判年月日: 平成4年9月24日 / 結論: 棄却
地方公務員法三七条一項は、憲法二八条に違反しない。 (補足意見がある。)
事件番号: 昭和59(行ツ)36 / 裁判年月日: 平成元年4月25日 / 結論: 棄却
一 地方公営企業労働関係法一一条一項は、同法附則四項により地方公営企業職員以外の単純な労務に雇用される一般職の地方公務員に準用される場合を含めて、憲法二八条に違反しない。 二 市の市長部局各部門、教育委員会で多数の職員が参加して約一時間の職場放棄を行い、市立の二病院で多数の職員が参加して二四時間の同盟罷業を行つたなどの…
事件番号: 昭和57(行ツ)131 / 裁判年月日: 昭和63年12月9日 / 結論: 棄却
地方公営企業労働関係法附則四項により地方公営企業職員以外の単純な労務に雇用される一般職の地方公務員に準用される同法一一条一項は、憲法二八条に違反しない。