家庭裁判所は,財産の分与に関する処分の審判において,当事者双方がその協力によって得た一方当事者の所有名義の不動産であって他方当事者が占有するものにつき,当該他方当事者に分与しないものと判断した場合,その判断に沿った権利関係を実現するため必要と認めるときは,家事事件手続法154条2項4号に基づき,当該他方当事者に対し,当該一方当事者にこれを明け渡すよう命ずることができる。
財産の分与に関する処分の審判において当事者双方がその協力によって得た一方当事者の所有名義の不動産であって他方当事者が占有するものにつき当該他方当事者に分与しないものと判断した場合に家事事件手続法154条2項4号に基づきその明渡しを命ずることの許否
民法768条3項,家事事件手続法154条2項4号
判旨
財産分与の審判において、夫婦共有財産であった一方当事者名義の不動産を他方当事者に分与しないと判断した場合、家庭裁判所は、家事事件手続法154条2項4号に基づき、当該他方当事者に対し当該不動産の明渡しを命ずることができる。
問題の所在(論点)
財産分与の審判において、夫婦が協力して得た一方当事者名義の不動産を他方当事者に分与しないものと判断した場合、家庭裁判所は家事事件手続法154条2項4号に基づき、当該他方当事者に不動産の明渡しを命ずることができるか。
規範
1. 財産分与の審判(民法768条3項)における給付命令の可否について、家事事件手続法154条2項4号は、審判後の別訴提起という迂遠な手続を避け、審判を実効的なものとする趣旨で設けられた規定である。 2. 同号は、審判の内容と命じ得る給付の関係について特段の限定をしていない。したがって、家庭裁判所は、当該財産を他方に分与する場合のみならず、分与しないと判断した場合であっても、その判断に沿った権利関係を実現するために必要と認めるときは、給付を命ずることができると解すべきである。
重要事実
事件番号: 令和2(許)44 / 裁判年月日: 令和3年10月28日 / 結論: その他
財産の分与に関する処分の審判の申立てを却下する審判に対し,夫又は妻であった者である相手方は,即時抗告をすることができる。
1. 抗告人(夫)と相手方(妻)は、平成12年に婚姻し、平成29年に離婚した。 2. 婚姻中に協力して得た財産として、抗告人名義の建物(本件建物)があるが、現在は相手方がこれを占有している。 3. 抗告人は、財産分与の審判において相手方に対し本件建物の明渡しを求めた。 4. 原審は、本件建物を相手方に分与しないと判断したが、明渡しについては所有権に基づく民事訴訟の手続によるべきとして、家事事件手続法に基づく明渡し命令を否定した。
あてはめ
1. 本件建物は、当事者双方が婚姻中の協力によって得た抗告人名義の財産であり、財産分与の対象となり得るものである。 2. 原審は、本件建物を相手方に分与しないとの判断を示している。この場合、抗告人が完全な所有権を行使できる状態にするのが「判断に沿った権利関係の実現」といえる。 3. 相手方に建物の明渡しを命ずることは、上記権利関係の実現のために「必要な給付」に該当する。これを民事訴訟に委ねることは、手続の迂遠を避けるという同法154条2項4号の趣旨に反する。
結論
家庭裁判所は、家事事件手続法154条2項4号に基づき、相手方に対し抗告人への本件建物の明渡しを命ずることができる。したがって、これを否定した原決定は破棄されるべきである。
実務上の射程
夫婦共有財産として形成された一方名義の不動産(またはその他の財産)につき、非名義人の占有を解いて名義人に復帰させる必要がある場合全般に適用される。分与の有無にかかわらず、審判内容の実効性を確保するための給付命令が可能となった。
事件番号: 平成11(許)18 / 裁判年月日: 平成12年3月10日 / 結論: 棄却
内縁の夫婦の一方の死亡により内縁関係が解消した場合に、民法七六八条の規定を類推適用することはできない。
事件番号: 昭和26(ク)135 / 裁判年月日: 昭和26年8月11日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に許された場合に限られ、民事事件においては、原決定の憲法判断の不当を理由とする抗告(旧民訴法419条の2)のみがこれに該当する。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案であるが、その抗告理由は、原決定における法律…