内縁の夫婦の一方の死亡により内縁関係が解消した場合に、民法七六八条の規定を類推適用することはできない。
内縁の夫婦の一方の死亡により内縁関係が解消した場合に民法七六八条の規定を類推適用することの可否
民法768条,民法896条
判旨
内縁の夫婦の一方の死亡により内縁関係が解消した場合、法律上の離婚に伴う財産分与に関する民法768条の規定を類推適用することはできない。
問題の所在(論点)
内縁の夫婦の一方の死亡により内縁関係が解消した場合に、民法768条(離婚による財産分与)の規定を類推適用して、生存内縁配偶者が死亡内縁配偶者の相続人に対し財産分与を請求できるか。
規範
民法は、婚姻解消時の財産処理について、離婚(離別)と死亡を区別しており、前者は財産分与、後者は相続により解決する体系を採用している。離別による内縁解消に財産分与規定を類推適用することは準婚的関係の保護として合理的であるが、死亡による解消の場合に財産分与の法理を認めることは、相続制度という財産承継の構造の中に異質の契機を持ち込むものであり、法の予定しないところである。
重要事実
内縁の夫婦の一方が死亡したことにより内縁関係が解消された。生存していた内縁配偶者が、亡くなった内縁配偶者の相続人に対し、民法768条の類推適用に基づき、清算的要素および扶養的要素を含む財産分与を求めて申し立てを行った事案である。
事件番号: 令和1(許)16 / 裁判年月日: 令和2年8月6日 / 結論: 破棄差戻
家庭裁判所は,財産の分与に関する処分の審判において,当事者双方がその協力によって得た一方当事者の所有名義の不動産であって他方当事者が占有するものにつき,当該他方当事者に分与しないものと判断した場合,その判断に沿った権利関係を実現するため必要と認めるときは,家事事件手続法154条2項4号に基づき,当該他方当事者に対し,当…
あてはめ
民法の規定によれば、法律上の夫婦であっても死亡による婚姻解消時は相続によってのみ財産が承継される。内縁関係においても同様に、死亡による解消の場合に相続人に対して財産分与請求を認めることは、既存の相続制度の枠組みと抵触する。また、死亡した内縁配偶者の扶養義務が遺産の負担として相続人に承継されると解する余地もない。したがって、生存内縁配偶者の請求には根拠がないと解される。
結論
内縁の配偶者の死亡による内縁解消の場合、民法768条を類推適用することはできず、生存内縁配偶者は相続人に対して財産分与請求権を有しない。
実務上の射程
離別(生別)による内縁解消には財産分与の規定が類推適用される(最判昭33.4.11参照)が、死亡解消には適用されないという区別を明確にする際に用いる。生存内縁配偶者の保護は、特別縁故者への分与(民法958条の3)等の相続法上の制度により図られるべきであることを示唆している。
事件番号: 昭和28(ク)307 / 裁判年月日: 昭和29年1月13日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に最高裁判所への抗告が許された場合に限られ、民事事件においては特別抗告(旧民訴法419条の2)のみがこれに該当する。したがって、最高裁判所に対する抗告理由は、原決定における憲法判断の不当性を主張するものに限定される。 第1 事案の概要:抗告人は…
事件番号: 令和2(許)44 / 裁判年月日: 令和3年10月28日 / 結論: その他
財産の分与に関する処分の審判の申立てを却下する審判に対し,夫又は妻であった者である相手方は,即時抗告をすることができる。