離婚の訴えに附帯してされた財産分与の申立については、右訴えの係属が失われたときは、当該訴訟手続内で審判することができず、これを不適法として却下すべきである。
離婚の訴えの係属の消滅と右訴えに附帯してされた財産分与の申立の適否
民法768条,民法771条,人事訴訟手続法5条1項,家事審判法9条1項乙類5号
判旨
離婚の訴えに附帯して申し立てられた財産分与は、離婚の訴えが係属していることを前提要件とするため、和解離婚等により離婚請求の係属が消滅した場合には、当該訴訟手続内で審理判断することはできず、不適法として却下される。
問題の所在(論点)
離婚の訴えに附帯して財産分与の申立てがなされた場合において、和解離婚等により離婚の訴えが終了した後に、当該訴訟手続内で財産分与の申立てのみを継続して審理できるか(附帯請求の前提要件)。
規範
離婚の訴えに附帯する財産分与の申立て(人事訴訟法32条1項、旧人事訴訟手続法15条1項)は、本来家庭裁判所の専権に属する家事審判事項につき、手続の経済と当事者の便宜から例外的に訴訟手続内での審理を許したものである。したがって、当該申立てを訴訟手続内で審判するためには、本来的請求である離婚の訴えが現に係属していることが前提要件となる。離婚の訴えの係属が失われたときは、附帯的請求である財産分与についてのみを当該訴訟手続内で審理判断することはできない。
重要事実
上告人は、被上告人に対し離婚の訴えを提起するとともに、これに附帯して財産分与の申立てを行った。しかし、第一審の訴訟継続中に、両者の間で協議離婚をする旨の和解が成立し、協議離婚の届出がなされたことで、本来的請求である離婚請求にかかる訴訟は終了した。その後、残存する財産分与の申立ての適法性が争点となった。
あてはめ
本件では、上告人と被上告人の間で協議離婚の和解が成立し、実際に離婚届が提出されたことで、本来的請求である離婚の訴えはその係属を失っている。財産分与の申立ては離婚訴訟の係属を前提とする附帯的請求であるから、前提となる離婚訴訟が終了した以上、もはや当該訴訟手続内でこれを審判する余地はない。したがって、残存する財産分与の申立ては、訴訟要件を欠くものとして不適法となる。
結論
離婚の訴えの係属が失われた以上、附帯された財産分与の申立ては不適法として却下されるべきである。
実務上の射程
人訴法上の附帯処分(財産分与、親権者の指定等)全般に共通する法理である。訴訟上の和解で離婚のみが成立し附帯処分が未解決の場合、訴訟手続は終了するため、別途家事審判を申し立てる必要があるという実務上の留意点を示す。和解条項案を作成する際の基礎知識として重要である。
事件番号: 昭和27(オ)367 / 裁判年月日: 昭和27年11月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】離婚に伴う財産分与(民法768条)の裁判において、裁判所は当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して分与の額を定める権限を有し、その裁量的判断は特段の事情がない限り適法である。 第1 事案の概要:上告人は、原審(高等裁判所)が行った法令の解釈および財産分与の対象となる資産額…
事件番号: 昭和32(オ)333 / 裁判年月日: 昭和34年2月19日 / 結論: 棄却
裁判上の離婚の場合においては、訴訟の最終口頭弁論当時における当事者双方の財産状態を考慮して、財産分与の額および方法を定めるべきである。
事件番号: 令和3(受)1115 / 裁判年月日: 令和4年12月26日 / 結論: 破棄差戻
離婚請求に附帯して財産分与の申立てがされた場合において、裁判所が離婚請求を認容する判決をするに当たり、当事者が婚姻中にその双方の協力によって得たものとして分与を求める財産の一部につき、財産分与についての裁判をしないことは許されない。