第一審において離婚請求について全部勝訴の判決を受けた当事者も、控訴審において、附帯控訴の方式により新たに財産分与の申立をすることができる。
離婚請求について全部勝訴の当事者が控訴審において附帯控訴の方式により新たに財産分与の申立をすることの可否
人事訴訟手続法15条1項,民法768条1項,民法771条,民訴法372条
判旨
第一審で離婚請求について全部勝訴した当事者であっても、控訴審において附帯控訴の方式により新たに財産分与の申立てをすることが認められる。
問題の所在(論点)
離婚請求について第一審で全部勝訴した当事者が、控訴審において附帯控訴の方式により新たに財産分与の申立てをすることができるか。
規範
離婚の訴えにおける財産分与の申立て(民法768条1項、人事訴訟法32条1項)は、第一審において離婚請求で全部勝訴した当事者であっても、控訴審の段階で附帯控訴(民事訴訟法293条1項)の方式により追加して申し立てることが可能である。また、財産分与額の算定は裁判所の裁量に属する事項である。
重要事実
上告人(夫)と被上告人(妻)の離婚訴訟において、被上告人は第一審で離婚請求について全部勝訴の判決を受けた。その後、被上告人は控訴審において附帯控訴の方式により、新たに財産分与の申立てを行った。これに対し上告人は、第一審の勝訴者が控訴審で新たに財産分与を求めることは違法であるとして争った。
あてはめ
財産分与の申立ては離婚請求に付随する申立てであり、第一審の勝訴判決によって離婚が認められたとしても、それによって生じる財産上の清算等の問題は依然として解決を要する。附帯控訴は控訴審の口頭弁論終結まで可能であり、全部勝訴者であっても、相手方の控訴により判決が確定していない以上、附帯控訴により自己に有利な判決変更を求めることを妨げるべきではない。したがって、被上告人が控訴審で初めて財産分与を申し立てたことは適法な手続といえる。
結論
第一審の離婚請求全部勝訴者による控訴審での附帯控訴による財産分与申立てを肯定した原判決は正当である。上告を棄却する。
実務上の射程
人事訴訟における附帯控訴の許容範囲を示す重要判例である。答案上では、離婚に伴う付随的申立てのタイミングが問題となる場面で使用する。全部勝訴者に控訴権はないが、附帯控訴権は認められるという民事訴訟法の一般原則が人事訴訟の特質(離婚と財産分与の不可分性)においても妥当することを裏付けるものである。
事件番号: 令和3(受)1115 / 裁判年月日: 令和4年12月26日 / 結論: 破棄差戻
離婚請求に附帯して財産分与の申立てがされた場合において、裁判所が離婚請求を認容する判決をするに当たり、当事者が婚姻中にその双方の協力によって得たものとして分与を求める財産の一部につき、財産分与についての裁判をしないことは許されない。
事件番号: 平成14(受)505 / 裁判年月日: 平成16年6月3日 / 結論: 破棄差戻
1 離婚の訴えの原因である事実によって生じた損害賠償請求の反訴の提起及び離婚の訴えに附帯してする財産分与の申立てについては,控訴審においても,相手方の同意を要しない。 2 原審の口頭弁論の終結に至るまでに離婚請求に附帯して財産分与の申立てがされた場合において,上訴審が,原審の判断のうち財産分与の申立てに係る部分について…