1 離婚の訴えの原因である事実によって生じた損害賠償請求の反訴の提起及び離婚の訴えに附帯してする財産分与の申立てについては,控訴審においても,相手方の同意を要しない。 2 原審の口頭弁論の終結に至るまでに離婚請求に附帯して財産分与の申立てがされた場合において,上訴審が,原審の判断のうち財産分与の申立てに係る部分について違法があることを理由に原判決を破棄し,又は取り消して当該事件を原審に差し戻すとの判断に至ったときには,離婚請求を認容した原審の判断に違法がない場合であっても,財産分与の申立てに係る部分のみならず,離婚請求に係る部分をも破棄し,又は取り消して,共に原審に差し戻すこととするのが相当である。
1 離婚の訴えの原因である事実によって生じた損害賠償請求の反訴の提起及び離婚の訴えに附帯してする財産分与の申立てについての控訴審における相手方の同意の要否 2 原審の口頭弁論の終結に至るまでに離婚請求に附帯して財産分与の申立てがされた場合において上訴審が原審の判断のうち財産分与の申立てに係る部分について違法があることを理由に原判決を破棄し又は取り消して当該事件を原審に差し戻すとの判断に至ったときに離婚請求に係る部分を差し戻すことの要否
民法768条,民法771条,人事訴訟法32条1項,家事審判法9条1項乙類5号,人事訴訟手続法8条,人事訴訟法18条,民訴法300条,民訴法307条,民訴法308条,民訴法325条
判旨
離婚訴訟の控訴審において、離婚に伴う慰謝料請求の反訴提起および財産分与の申立てを行う際、相手方の同意は不要である。また、財産分与の申立てに係る却下判断に違法がある場合、離婚請求部分に違法がなくても、併せて差し戻すべきである。
問題の所在(論点)
離婚訴訟の控訴審において提起された慰謝料請求の反訴および財産分与の申立てに、民事訴訟法300条1項が定める「相手方の同意」が必要か。また、申立ての却下が違法な場合、離婚請求部分も併せて差し戻すべきか。
規範
人事訴訟法18条(旧人訴手続法8条)の趣旨に照らし、離婚原因と同一の事実に基づく損害賠償請求(慰謝料)の反訴提起、および離婚に附帯する財産分与の申立ては、控訴審であっても相手方の同意を要しない。また、財産分与は離婚と同一の手続内で解決すべき(人訴法32条1項)であるため、分与申立ての却下が違法であれば、離婚請求と不可分なものとして、離婚認容部分も含めて差し戻すのが相当である。
事件番号: 令和3(受)1115 / 裁判年月日: 令和4年12月26日 / 結論: 破棄差戻
離婚請求に附帯して財産分与の申立てがされた場合において、裁判所が離婚請求を認容する判決をするに当たり、当事者が婚姻中にその双方の協力によって得たものとして分与を求める財産の一部につき、財産分与についての裁判をしないことは許されない。
重要事実
第1審で離婚請求を認容された控訴人(被告)が、原審(控訴審)において、離婚認容を条件とする予備的反訴として慰謝料請求および財産分与の申立てを行った。これに対し、被控訴人(原告)は同意を拒否し、原審は相手方の同意がないことを理由に、これら反訴および申立てを不適法として却下するとともに、離婚請求に対する控訴を棄却した。
あてはめ
本件における慰謝料の反訴および財産分与の申立ては、離婚請求と密接に関連する附帯的事項である。人訴法(旧法含む)は紛争の一回的解決を目的として同意不要の特則を設けており、控訴審での提起にも適用される。したがって、同意を理由に却下した原審の判断には法令違反がある。さらに、財産分与は離婚成立を前提に同一手続で審理・判断されるべき性質のものであるため、財産分与の審理が未尽である以上、離婚部分だけを確定させず、全体を差し戻して審理させるべきである。
結論
慰謝料の反訴提起および財産分与の申立てに相手方の同意は不要であり、原判決を全部破棄して原審へ差し戻す。
実務上の射程
人事訴訟における反訴提起の特則(人訴法18条)が控訴審でも適用されることを確認した重要判例。答案上では、離婚に伴う金銭的解決の一回的解決・当事者の便宜という趣旨を強調し、民訴法300条の例外として論証する。また、財産分与と離婚請求の審理上の不可分性を示す根拠としても活用できる。
事件番号: 昭和42(オ)1195 / 裁判年月日: 昭和44年2月20日 / 結論: 棄却
地方裁判所は、婚姻費用の分担およぴ扶養に関する審判事項を内容とする訴訟事件を、民訴法三〇条一項の規定により家庭裁判所に移送することはできない。
事件番号: 昭和63(オ)316 / 裁判年月日: 平成元年9月7日 / 結論: 破棄差戻
有責配偶者である夫(大正一五年四月生)からの離婚請求であつても、夫婦の別居期間が約一五年六か月に及び、その間の子が夫と同棲する女性に四歳時から実子同然に育てられて一九歳に達しており、妻(昭和九年三月生)は別居期間中夫所有名義のマンションに居住し、主に夫から支払われる婚姻費用によつて生活してきたものであり、しかも、妻が離…
事件番号: 昭和63(オ)270 / 裁判年月日: 平成元年12月11日 / 結論: 棄却
裁判所は、離婚請求を認容するに際し、親権者の指定とは別に子の監護者の指定をしない場合であっても、申立により、監護費用の支払を命ずることができる。
事件番号: 平成17(受)1793 / 裁判年月日: 平成19年3月30日 / 結論: その他
離婚の訴えにおいて,別居後単独で子の監護に当たっている当事者から他方の当事者に対し,別居後離婚までの期間における子の監護費用の支払を求める旨の申立てがあった場合には,裁判所は,離婚請求を認容する際に,人事訴訟法32条1項所定の子の監護に関する処分を求める申立てとして,その当否について審理判断しなければならない。