判旨
離婚に伴う財産分与(民法768条)の裁判において、裁判所は当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して分与の額を定める権限を有し、その裁量的判断は特段の事情がない限り適法である。
問題の所在(論点)
離婚に伴う財産分与の裁判において、裁判所が行った分与対象額の確定および分与額の決定(裁量的判断)が、上告理由となる法令違背に該当するか。
規範
離婚による財産分与において、裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきか否か、及び分与の額・方法を定める。この判断は裁判所の合理的な裁量に委ねられる。
重要事実
上告人は、原審(高等裁判所)が行った法令の解釈および財産分与の対象となる資産額の確定(事実認定)に不服があるとして上告した。具体的には、人事訴訟手続法(当時)15条等の解釈や、分与額の算定根拠となった事実関係の認定を攻撃するものであった。
あてはめ
最高裁判所は、上告人の主張が当時の人事訴訟手続法15条(附帯処分に関する規定)の明文に反する独自の見解に基づくものであると指摘した。また、分与資産額の確定といった事実認定に関する不服は、単なる事実誤認の主張に帰着し、最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律所定の「法令の解釈に関する重要な主張」には該当しないと判断した。
結論
本件上告は棄却される。原審による事実認定および分与額の決定は適法な裁量の範囲内であり、特段の法令違反は認められない。
実務上の射程
財産分与の算定は裁判所の広範な裁量に属することを認めた事例である。実務上、分与額の算定の基礎となる「一切の事情」の認定は事実認定の問題であり、原則として上告審での争点になりにくいことを示唆している。答案上は、財産分与における裁判所の裁量権の根拠として言及し得る。
事件番号: 昭和32(オ)463 / 裁判年月日: 昭和35年2月2日 / 結論: 棄却
婚姻事件においても、証拠調の限度は、裁判所が既に得た心証の程度により自由にこれを定めることができ、必ずしもつねに職権による当事者本人尋問の施行を要するものではない。
事件番号: 昭和34(オ)193 / 裁判年月日: 昭和37年3月15日 / 結論: 棄却
離婚の場合の慰藉料については、当事者の地位、年齢、財産関係その他諸般の事情を斟酌して決定すべきであるから、当事者の収入のほか扶養料の支払を命ずる審判がなされていることを斟酌したからといつて違法であるとはいえない。