国又は公共団体の公権力の行使に当たる複数の公務員が,その職務を行うについて,共同して故意によって違法に他人に加えた損害につき,国又は公共団体がこれを賠償した場合においては,当該公務員らは,国又は公共団体に対し,連帯して国家賠償法1条2項による求償債務を負う。 (補足意見がある。)
複数の公務員が国又は公共団体に対して連帯して国家賠償法1条2項による求償債務を負う場合
国家賠償法1条2項
判旨
国又は公共団体の複数の公務員が、その職務を行うについて共同して故意に違法に他人に損害を加え、国又は公共団体がこれを賠償した場合には、当該公務員らは、国又は公共団体に対し、国家賠償法1条2項による求償債務を連帯して負う。
問題の所在(論点)
国又は公共団体の複数の公務員が共同して故意により他人に損害を加えた場合、当該公務員らが国等に対して負う国家賠償法1条2項に基づく求償債務の性質は、分割債務か連帯債務か。
規範
国家賠償法1条2項に基づく公務員への求償権は、公務員の職務行為が共同して行われた場合、当該公務員らは国等との関係において一体を成す。一部の者が無資力であっても、その危険は公務員間で負担すべきであり、公平の見地から連帯債務の関係に立つ。この判断は、同条1項の法的性質(代位責任説・自己責任説)にかかわらず導かれるものである。
重要事実
大分県教育委員会の職員であるA(教育審議監)、F(義務教育課長)、E(主幹)の3名は、教員採用試験において特定の受験者を合格させるため、賄賂の受領や得点操作などの不正を共同して故意に行った。この不正により不合格となった受験者らに対し、県は合計7095万円(平成19年度分)の損害賠償金を支払った。その後、県はAに対し、寄附金や既弁済額を控除した残額について求償権の行使を求められたが、原審は各職員の職責等に応じた分割債務にとどまると判断した。
事件番号: 平成28(行ヒ)33 / 裁判年月日: 平成29年9月15日 / 結論: その他
県が教員採用試験における職員らの不正のため不合格となった受験者らに損害賠償金を支払ったことにより取得した求償権の一部を知事において行使しないことが財産の管理を違法に怠るものであるとして提起された住民訴訟において,上記不正は県の教育委員会の職員らが現職の教員を含む者から依頼を受けて受験者の得点を操作するなどして組織的に行…
あてはめ
本件において、AはF及びEと共同して、特定の受験者を合格させるという不正行為を故意に行った。この行為は一連の職務上の行為として一体を成しており、不合格者への損害を発生させたものである。そうである以上、公務員間での負担割合にかかわらず、国に対する関係では、共同行為者全員が求償債務全額について責任を負う連帯債務の関係に立つと解される。したがって、Aは求償対象となる総額(2877万8376円)から自身の既弁済額を控除した全額(2682万4743円)について、県に対し支払義務を負う。原審のように、職責比率(4:3.5:2.5)によって分割債務と解することは、国等の求償権を不当に制限するものであり認められない。
結論
Aらは連帯して求償債務を負うため、県はAに対し、求償総額から既弁済額を差し引いた全額の支払を請求できる。
実務上の射程
複数の公務員が関与する組織的・共同的な不法行為が発生した場合の求償の範囲を確定させた。国家賠償法1条1項の性質論に拘泥せず、連帯債務を認めることで公共団体の債権保全を図る実務上の指針となる。
事件番号: 昭和31(あ)3207 / 裁判年月日: 昭和34年2月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】数人が共同して賄賂を収受した場合において、各共犯者から追徴すべき額は、賄賂として得た利益の総額ではなく、各人が実際に分配を受け占有した個別額を基準として算定すべきである。 第1 事案の概要:被告人AおよびBは、共同して賄賂を収受した。第一審判決が挙げた証拠によれば、事案(一)において被告人Aは5万…