判旨
仮執行宣言付判決に基づき給付をしたとしても、判決確定前であれば連帯債務や求償権の関係は確定せず、また共同被告間において当該判決の既判力は及ばない。
問題の所在(論点)
仮執行宣言付判決に基づく支払によって求償権の発生が認められるか。また、被害者から共同被告として訴えられた者相互の間で、当該判決の既判力が及ぶか。
規範
1. 仮執行宣言付判決に基づく執行または支払は、判決の確定前に連帯債務や求償権の関係を実体法上確定させるものではない。 2. 共同被告間において、一当事者が受けた判決の既判力は、互いに共同被告の地位にあるにすぎない他の当事者との間には生じない。
重要事実
交通事故の被害者が、加害者である当事者双方(上告人および被上告人)を共同被告として損害賠償請求訴訟を提起した。同訴訟で仮執行宣言付の敗訴判決を受けた上告人は、執行を免れるため被害者側に金員を支払った。その後、上告人は共同被告であった被上告人に対し、当該支払に基づき求償権を行使したが、先行する賠償訴訟の判決は未確定の状態であった。
あてはめ
上告人は、仮執行宣言付判決に基づく執行が確定判決と同様の効力を有すると主張するが、仮執行はあくまで暫定的なものであり、判決確定前に連帯債務等の実体関係を確定させる効力はない。また、既判力の観点から見ても、本件判決は未確定であり既判力が生じる前提を欠く。さらに、仮に確定したとしても、被害者と被告らとの間の権利関係を判断する判決は、共同被告相互間の内部的な求償関係について既判力をもって拘束するものではない。したがって、上告人が求償権を主張するには、別途連帯債務の存在を立証する必要があるが、未確定の判決は正にその証拠として不十分である。
結論
単に仮執行宣言付判決に基づく支払をしただけでは求償権の発生を認めるに足りず、また共同被告間に判決の効力は及ばないため、上告人の請求は棄却される。
実務上の射程
共同被告間(共同不法行為者間等)の求償訴訟において、先行する賠償訴訟の結果をそのまま援用できるかという場面で活用する。既判力の主観的範囲(民訴法115条1項)が当事者対立構造に限定されること、および仮執行の性質が暫定的であることを示す際に有用である。
事件番号: 昭和32(オ)491 / 裁判年月日: 昭和34年6月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不法行為または債務不履行に基づく損害賠償の算定において、公定価格制度が存在する場合、公定価格を超える部分は特別の事情による損害としての要件を欠く限り、賠償の対象とはならない。 第1 事案の概要:上告人(原告)は、本件醤油油の取引に関連して損害を被ったとして、相手方に対し損害賠償を請求した。その際、…