国が私人から承継取得した私法上の債権についてされる納入の告知についても会計法三二条の適用がある。
国が私人から承継取得した私法上の債権についての納入の告知と会計法三二条
会計法32条,民法153条
判旨
国が私法上の債権を承継取得した場合であっても、法令の定める形式と手続に従ってなされた納入の告知には、時効中断の効力を認める会計法32条が適用される。
問題の所在(論点)
国が私人から承継取得した私法上の債権について、法令に基づく「納入の告知」をした場合、会計法32条が適用され、時効中断(現・時効更新等)の効力が生じるか。
規範
会計法32条は、国の私法上の債権の種類を限定しておらず、納入の告知に民法上の催告(旧民法153条)を超える特則を設けた趣旨は、それが関係法令に基づく厳格な形式と手続に従ってなされ、権利行使の意図が明確に顕現される点にある。したがって、国が私人から承継取得した債権であっても、法定の手続に従う限り同条が適用される。
重要事実
国が自動車損害賠償保障法72条1項に基づき被害者の損害を補填した結果、同法76条1項により被害者の加害者に対する損害賠償請求権を代位取得した。国はこの承継した私法上の債権について、法令の規定に基づき納入の告知を行ったが、債務者側は、承継取得した債権については会計法32条(時効中断の特則)の適用はなく、通常の催告としての効力しか持たないと主張して争った。
あてはめ
本件債権は国が代位取得した私法上の損害賠償請求権であるが、会計法32条はその適用対象を国が当初から有する債権に限定していない。本件の告知は、国の債権の管理等に関する法律等の関係法令が定める形式・手続に従い、歳入徴収官等によってなされたものである。このような厳格な手続による履行請求は、権利行使の意図が客観的に明確であり、法の趣旨に合致する。ゆえに、承継債権であることを理由に同条の適用を否定すべき合理的理由は認められない。
結論
国が承継取得した私法上の債権についても会計法32条の適用があり、法令に基づく納入の告知によって時効中断の効力が生じる。
実務上の射程
国の債権管理における実務上の重要判例。答案上は、国が当事者となる債権の消滅時効が問題となる際、通常の民法上の催告と異なり、納入の告知がなされていれば直ちに時効中断の効果が生じる根拠として引用する。債権の発生原因(原始取得か承継取得か)を問わない点に射程の広さがある。
事件番号: 平成9(オ)2037 / 裁判年月日: 平成11年4月27日 / 結論: 棄却
一 不動産競売手続において執行力のある債務名義の正本を有する債権者がする配当要求は、差押えに準ずるものとして、配当要求に係る債権につき時効中断の効力を生ずる。 二 執行力のある債務名義の正本を有する債権者が配当要求をした後に、不動産競売の申立債権者が追加の手続費用を納付しなかったことを理由に競売手続が取り消された場合に…