判旨
連帯債務者の一方が他方に対し、当該債務の弁済について一切の責任を負い迷惑や損害をかけない旨の念書を差し入れた場合、内部関係における負担部分を全部当該債務者とする合意が成立したと解される。
問題の所在(論点)
民法442条に基づき、連帯債務者の内部関係において、一方の負担部分を全部(10割)とし、他方の負担部分を零(0割)とする合意の成否、およびその認定基準が問題となる。
規範
連帯債務者の内部関係における負担部分は、特約によって自由に定めることができる。債務の一切を引き受け、相手方に損害を与えない旨の合意がある場合には、その負担部分は一方の債務者に全部帰属し、他方の負担部分はゼロとする合意が成立したものとみなされる。
重要事実
上告人と被上告人は、訴外Dから金71万995円を共同して借り受けた連帯債務者であった。しかし、その際、上告人は被上告人に対し、本件借入金の弁済については自分(上告人)が一切の責任を負い、被上告人には迷惑や損害をかけないことを約束し、その旨を記載した「念書(甲二号証)」を差し入れていた。後にこの負担部分の帰属が争点となった。
あてはめ
本件において、上告人は被上告人に対し、債務弁済について「一切の責任を負う」こと、および「迷惑や損害をかけない」ことを明記した念書を差し入れている。この事実は、債務の経済的実質を上告人が全面的に引き受ける意思表示を客観的に示すものである。したがって、当該念書の差入れにより、共同債務者間における内部的な負担割合を、上告人100%、被上告人0%とする合意が成立したものと評価するのが相当である。
結論
上告人と被上告人との内部関係における負担部分は、その全部が上告人にある。したがって、上告人の主張は理由がなく、棄却されるべきである。
実務上の射程
連帯債務における負担部分の特約(442条1項)の認定に関する事例判決。求償権の制限や発生を防ぐための実務的な合意(念書)の有効性と解釈指針として活用できる。答案上は、負担部分が「等しい割合」とされる原則の例外を基礎付ける事実認定の例として引用する。
事件番号: 昭和45(オ)622 / 裁判年月日: 昭和46年7月23日 / 結論: 破棄差戻
一、民法一七四条ノ二の規定によつて主たる債務者の債務の短期消滅時効期間が一〇年に延長されるときは、これに応じて保証人の債務の消滅時効期間も同じく一〇年に変ずるものと解すべきである。 二、(省略)