一、民法一七四条ノ二の規定によつて主たる債務者の債務の短期消滅時効期間が一〇年に延長されるときは、これに応じて保証人の債務の消滅時効期間も同じく一〇年に変ずるものと解すべきである。 二、(省略)
一、主たる債務の短期消滅時効期間が民法一七四条ノ二の規定により一〇年に延長された場合の保証人の債務の消滅時効期間 二、信用保証協会信用保証委託約款の解釈につき違法があるとされた事例
民法174条ノ2,民法457条,民法446条,民訴法395条
判旨
主たる債務者が判決により債務を確定させたことで消滅時効期間が10年に延長された場合(旧民法174条の2第1項、現行169条1項)、その債務を担保する連帯保証債務の時効期間も、主債務に従属して10年に延長される。また、信用保証委託契約における連帯保証は、特段の事情がない限り、将来の求償権を担保する趣旨と解するのが相当である。
問題の所在(論点)
主たる債務者に対する確定判決によって時効期間が10年に延長された場合、その連帯保証債務の時効期間も10年に延長されるか。また、共同保証人間の求償関係において、一方が他方の求償債務を連帯保証したといえるか。
規範
1. 主たる債務者の債務が確定判決によりその消滅時効期間を10年に延長されたときは、連帯保証人の債務の消滅時効期間も、主たる債務の時効期間に服し、同様に10年に延長されると解する(附従性)。 2. 信用保証委託契約書における「連帯保証人」の定めは、約款の文言(将来取得する求償権の担保等)に照らし、合理的な解釈として、受託保証人が将来取得すべき求償権を主債務として担保する保証債務であると解される。
重要事実
D社はE信金から30万円を借入。保証人である上告人(協会)は、D社から委託を受け連帯保証した。その際、被上告人はD社の上告人に対する求償債務を連帯保証する旨の約定をした。D社が債務不履行となったため、上告人が代位弁済し、D社に対し求償権取得。上告人はD社に訴えを提起し、昭和36年に勝訴判決が確定した。その後、上告人が被上告人(連帯保証人)に対し求償債務の履行を求めたところ、被上告人は5年の商事時効を主張した。
あてはめ
1. 主債務であるD社の求償債務は、上告人の勝訴判決確定(昭和36年9月)により、民法174条の2第1項(当時)に基づき時効期間が10年に延長された。連帯保証債務は主債務に附従するため、被上告人の債務も同様に10年の時効期間に服する。 2. 本件契約の約款には「将来取得する求償権を担保するために連帯保証人を追加する」旨の条項があり、被上告人はこれに基づき署名捺印している。これは単なる共同保証の関係を超え、上告人のD社に対する求償権そのものを担保する保証債務を負う合意があったとみるのが合理的である。したがって、被上告人の債務は求償権の連帯保証債務として時効延長の影響を受ける。
結論
主債務の時効延長に伴い、連帯保証債務の時効も10年に延長される。被上告人の時効援用は認められず、原判決は破棄・差し戻されるべきである。
実務上の射程
主債務者の判決確定による時効延長(169条1項)が保証人に及ぶことを示した重要な判例である。答案上は、保証債務の附従性を根拠に、主債務の時効完成猶予・更新の効果が保証人に及ぶとする議論(457条1項)と並び、時効期間そのものの変容も随伴することを論ずる際に用いる。
事件番号: 昭和40(オ)1234 / 裁判年月日: 昭和42年10月6日 / 結論: 棄却
信用保証協会が商人である債務者の委任に基づいて成立した保証債務を履行した場合において、信用保証協会が取得する求償権は、商法第五二二条に定める五年の消滅時効にかかる。