保証人が主たる債務者に対して取得した求償権の消滅時効の中断事由がある場合であっても,共同保証人間の求償権について消滅時効の中断の効力は生じない。
保証人が主たる債務者に対して取得した求償権の消滅時効の中断事由がある場合における共同保証人間の求償権の消滅時効中断の有無
民法147条,民法442条,民法465条
判旨
共同保証人の一人が主たる債務者に対して取得した求償権につき消滅時効の中断事由がある場合でも、他の共同保証人に対する求償権(民法465条1項)について消滅時効の中断の効力は生じない。
問題の所在(論点)
共同保証人の一人が、主たる債務者に対する求償権の消滅時効を中断させた場合、その効力は他の共同保証人に対する求償権(民法465条1項、442条)にも及ぶか。民法457条1項(主たる債務者に対する時効中断の保証人への効力)の類推適用の可否が問題となる。
規範
共同保証人間の求償権(民法465条1項)は、共同保証人間の負担を最終的に調整するためのものであり、保証人が主たる債務者に対して取得した求償権を担保するためのものではない。したがって、主たる債務者に対する求償権と共同保証人間の求償権との間に主従の関係や担保関係は認められず、民法457条1項の類推適用も認められない。ゆえに、前者の消滅時効中断の効果は後者に及ばない。
重要事実
主たる債務者Aの債務について、上告人(信用保証協会)と被上告人がそれぞれ連帯保証人となった。上告人は、平成6年に債務を代位弁済し、Aおよび被上告人に対して求償権を取得した。上告人はAに対し、一部弁済の受領や訴訟の提起を行い、平成14年に求償金請求訴訟の判決が確定するなど、Aに対する求償権の時効中断手続をとった。しかし、被上告人に対しては平成24年に本件訴訟を提起するまで格別の時効中断措置をとっていなかった。これに対し、被上告人は共同保証人間の求償権の時効消滅を主張した。
あてはめ
上告人は、共同保証人間の求償権が主たる債務者への求償権を担保する性質を有すると主張し、民法457条1項の類推適用を求めた。しかし、同条項は主たる債務と保証債務の附随性に基づく規定である。これに対し、共同保証人間の求償権は、弁済をした保証人のみの損失を避けるという公平の観点から認められた独立の権利であり、主たる債務者に対する求償権を主とする従属的・担保的な関係にはない。したがって、Aに対する求償権の時効中断事由があるからといって、別個の債務者である被上告人に対する求償権にその効果が及ぶと解することはできない。
結論
主たる債務者に対する求償権の時効中断の効果は、他の共同保証人に対する求償権には及ばない。被上告人に対する求償権は時効により消滅しているため、上告人の請求は棄却される。
実務上の射程
共同保証人に対する求償権を確保するためには、主たる債務者へのアクションとは別に、各共同保証人に対して個別に時効中断(更新)の措置を講じる必要があることを明示した実務上重要な判断である。答案上は、債権の独立性を強調する文脈で使用する。
事件番号: 平成3(オ)491 / 裁判年月日: 平成7年1月20日 / 結論: 破棄差戻
連帯保証人の一人について和議認可決定が確定した場合に、和議開始決定後の弁済により右連帯保証人に対して求償権を取得した他の連帯保証人は、債権者が債権全部の弁済を受けたときに限り、右弁済による代位によって取得する債権者の和議債権(和議条件により変更されたもの)の限度で右求償権を行使することができる。