連帯保証人の一人について和議認可決定が確定した場合に、和議開始決定後の弁済により右連帯保証人に対して求償権を取得した他の連帯保証人は、債権者が債権全部の弁済を受けたときに限り、右弁済による代位によって取得する債権者の和議債権(和議条件により変更されたもの)の限度で右求償権を行使することができる。
和議認可決定を受けた連帯保証人の一人に対し他の連帯保証人が和議開始決定後の弁済により取得した求償権の行使の要件とその限度
民法501条,和議法45条,和議法57条,破産法24条,破産法26条,破産法326条
判旨
連帯保証人の一人が和議(民事再生)手続中にある場合、他の連帯保証人は主債権者が全額の弁済を受けるまで、和議開始後の弁済を理由とする求償権を行使できず、その行使範囲も債権者が有していた和議債権の範囲に限定される。
問題の所在(論点)
連帯保証人の一人が和議(現行の民事再生に相当)認可決定を受けた場合、他の連帯保証人が和議開始後に行った弁済に基づく求償権について、いかなる範囲・条件で権利行使が認められるか。民法465条1項、442条、および和議法(民事再生法)上の債権の取扱いが問題となる。
規範
1. 連帯保証人の一人が和議認可決定を受けた場合、和議開始時点の求償権は和議債権となり、和議条件に従って変更される。2. 和議開始後に弁済した連帯保証人は、主債権者が債権全部の弁済を受けたときに限り、弁済による代位によって取得する『変更後の和議債権』の限度で求償権を行使できる。これは、債権者が全額弁済を受けるまで和議条件に従った権利行使ができる地位(全額保護の原則)を優先し、かつ和議債務者に条件以上の負担を課さないためである。
重要事実
債権者Dに対し、Eの債務を上告人、F、Gが連帯保証した。上告人について和議開始決定がなされ、債務の60%を分割弁済し残部を免除する和議条件が確定した。Gは、上告人の和議開始前後にわたり、Dに対して合計約4597万円を弁済した。Gの相続人(被上告人)は、上告人に対し、弁済額の2分の1(約2298万円)の求償を求めて提訴した。なお、Dが全額の弁済を受けたか否かは原審では確定されていない。
あてはめ
本件において、Gが上告人に対して求償権を行使するには、まずDが全額の弁済を受けたことが前提となる。しかし、原審はDの完済の有無を確定していない。また、求償の範囲について、原審は単純に弁済額の2分の1を認めたが、和議開始後の弁済に基づく求償は、Gが代位によって取得する『和議条件により変更されたDの和議債権』の限度に拘束される。したがって、和議開始前後の求償権の区別や、Dの受領状況、和議条件による債務の減免を考慮せずに求償を認めた原審の判断は、法令の解釈適用を誤っている。
結論
債権者が全額の弁済を受けない限り、和議開始後の弁済を理由とする求償権の行使は認められない。また、行使できる場合であっても、和議条件により変更された範囲に限定される。本件はこれらの事実を審理させるため、差し戻しを免れない。
実務上の射程
民事再生手続における連帯保証人間の求償権の取扱いを論じる際の基準となる。再生債務者の更生を優先し、保証人の代位による求償を「主債権者の完済」まで制限する点、および「再生計画(和議条件)の拘束力」が代位求償権者にも及ぶ点を論証する際に用いる。
事件番号: 昭和58(オ)881 / 裁判年月日: 昭和61年2月20日 / 結論: 破棄差戻
代位弁済者が債権者から代位取得した原債権又はその連帯保証債権の給付を求める訴訟において、裁判所が請求を認容する場合には、求償権の額が原債権の額を常に上回るものと認められる特段の事情のない限り、主文において、請求を認容する限度として求償権を表示すべきである。