代位弁済者が債権者から代位取得した原債権又はその連帯保証債権の給付を求める訴訟において、裁判所が請求を認容する場合には、求償権の額が原債権の額を常に上回るものと認められる特段の事情のない限り、主文において、請求を認容する限度として求償権を表示すべきである。
代位弁済者の債権者から代位取得した原債権又はその連帯保証債権の給付請求を認容する場合と判決主文における求償権の表示
民法501条,民訴法191条
判旨
弁済による代位において、代位取得した原債権及びその担保権の行使は、代位弁済者の債務者に対する求償権を確保することを目的とする附従的性質を有するため、その行使は求償権の存する限度により制約される。
問題の所在(論点)
弁済による代位によって取得された原債権及びその担保権(民法501条)と、代位弁済者の債務者に対する求償権(民法459条等)の関係はいかなるものか。原債権の行使は求償権の範囲に制約されるか。
規範
弁済による代位(民法501条)において、代位弁済者が取得した原債権及びその担保権は、求償権を確保するための附従的性質を有する。したがって、その行使は求償権の範囲内に限られ、求償権が消滅すれば原債権も消滅する。裁判所が原債権の請求を認容する場合、求償権が常に原債権を上回る特段の事情がない限り、判決主文において求償権の限度で給付を命じなければならない。
重要事実
債権者Dは債務者Eに対し、Fの連帯保証の下で貸付けを行った。第三者Gは、EのためにDへ代位弁済を行い、Dの有していた原債権及びFに対する連帯保証債権を代位取得した。その後、Gはこれら債権を被上告人に譲渡し、被上告人はFの相続人である上告人に対し、本件連帯保証債権に基づき全額の支払を求めた。原審は、代位弁済によって確保されるべき「求償権」の内容を確定しないまま、連帯保証債権全額の支払を命じた。
あてはめ
弁済による代位は求償権の確保を目的とする制度である。本件において、被上告人は代位弁済者Gから譲り受けた原債権(連帯保証債権)を行使しているが、この権利は実体法上、求償権の存在・額に依存する附従的性質を持つといえる。それゆえ、被上告人は求償権の成立・内容を主張立証する必要があり、上告人は原債権だけでなく求償権に対する抗弁をもって対抗できる。原審が求償権の内容を確定せず、主文において求償権による制約を示さずに給付を命じたのは、実体法上の制約を無視した審理不尽・理由不備の違法がある。
結論
代位取得された原債権及び担保権の行使は、求償権の範囲内に限られる。裁判所は、求償権の発生・内容を確定した上で、その限度で支払を命じなければならないため、原判決を破棄し差し戻す。
実務上の射程
弁済による代位の問題が出題された際、代位債権を行使する要件として「求償権の発生」を明示すべき根拠となる。答案上は、請求権の発生原因において、民法501条に基づき原債権を行使する場合でも、あてはめで「求償権の範囲内であること」を確認するプロセスが重要となる。
事件番号: 昭和41(オ)1088 / 裁判年月日: 昭和42年9月29日 / 結論: 棄却
物上保証の目的物件の第三取得者が自己の出捐をもつて債権者に対し弁済した場合において、右第三取得者が有する求償権の範囲については、物上保証人に対する債務者の委任の有無によつて、民法第四五九条ないし第四六二条の規定が準用される。