受寄者が復受寄者に対してした電話による出荷停止の指図がその間の寄託契約に適用される復受寄者の倉庫寄託約款の定めによれば方式違背として無効である場合には、復受寄者が右指図に反してした出荷は、寄託者に対する関係においても債務不履行とはならない。
受寄者の復受寄者に対する出荷停止の指図がその間の定めによれば無効である場合に復受寄者のした出荷と寄託者に対する債務不履行の成否
民法107条2項,民法658条2項
判旨
再寄託における寄託者・受寄者・復受寄者の法律関係は、各当事者間の寄託契約に基づき個別に判断される。民法658条2項が準用する107条2項は、契約関係のない寄託者と復受寄者間に便宜上直接の権利義務を認めるものであり、受寄者と復受寄者間の寄託契約に基づく権利義務を何ら変容させるものではない。
問題の所在(論点)
再寄託がなされた場合において、受寄者と復受寄者間の権利義務関係は民法107条2項(準用)により一律に規定されるのか、それとも両者間の契約内容が優先されるのか(受寄者が約款に基づかない指図をした場合の効力)。
規範
民法658条2項により再寄託に同法107条2項が準用される場合であっても、受寄者と復受寄者との間の権利義務は、両者間で締結された寄託契約(約款を含む)に基づいて判断すべきである。同準用規定は寄託者と復受寄者との間に直接の権利義務を発生させる便宜のための規定であり、各契約当事者の権利義務に消長を来たすものではない。
重要事実
倉庫営業者である上告人(受寄者)は、D社から寄託されたワイヤー・ロッドを被上告人(復受寄者)に再寄託した。被上告人の約款には「指図等は書面によることを要求できる」旨の定めがあった。上告人は電話で出荷停止を指図したが、被上告人は書面がない限り出荷は止められない旨を回答した。その後、書面の到着前に被上告人が出荷を行ったため、上告人は債務不履行責任を追及した。
あてはめ
本件における受寄者(上告人)と復受寄者(被上告人)の権利義務は、本件再寄託関係への民法107条2項の準用の有無にかかわらず、両者間の寄託契約に基づいて決せられる。被上告人の約款4条は意思表示の書面性を要求しており、被上告人側も書面送付を依頼したにもかかわらず上告人はこれを怠った。したがって、電話による出荷停止指図は約款上の効力を生ぜず、被上告人の出荷行為は債務不履行に当たらない。
結論
受寄者と復受寄者間の権利義務は契約(約款)により決まるため、書面によらない指図を無効とした被上告人の出荷行為に債務不履行は成立しない。
実務上の射程
再寄託関係における「多面的な法律関係」を整理する際に有用な判例である。復代理の規定(107条2項)の準用が、受寄者・復受寄者間の内部的な契約拘束力を否定するものではないことを明示しており、実務上の約款の優先効を肯定する根拠として活用できる。
事件番号: 昭和41(オ)1088 / 裁判年月日: 昭和42年9月29日 / 結論: 棄却
物上保証の目的物件の第三取得者が自己の出捐をもつて債権者に対し弁済した場合において、右第三取得者が有する求償権の範囲については、物上保証人に対する債務者の委任の有無によつて、民法第四五九条ないし第四六二条の規定が準用される。
事件番号: 昭和53(オ)383 / 裁判年月日: 昭和53年7月18日 / 結論: 棄却
同一債権が重複して譲渡された場合において、確定日付が同一日付である複数の債権譲渡通知が同時に債務者に到達したときは、各譲受人は、後順位の譲受人に対する関係においては先順位の各譲受人が等しく債権者たる地位を有効に取得したものとして対抗することができる。