法人が受領した制限超過利息等を益金の額に算入して法人税の申告をし,その後の事業年度に当該制限超過利息等についての不当利得返還請求権に係る破産債権が破産手続により確定した場合において,当該制限超過利息等の受領の日が属する事業年度の益金の額を減額する計算をすることは,一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従ったものとはいえない。 制限超過利息等:利息制限法所定の制限利率を超えて支払われた利息及び遅延損害金
制限超過利息等についての不当利得返還請求権に係る破産債権が確定した場合において当該制限超過利息等の受領の日が属する事業年度の益金の額を減額する計算方法と一般に公正妥当と認められる会計処理の基準
法人税法22条2項,法人税法(平成30年法律第7号による改正前のもの)22条4項
判旨
貸金業者が受領した制限超過利息につき、後の事業年度に不当利得返還請求権に係る破産債権が確定した場合であっても、当該受領日の属する事業年度に遡って益金の額を減額することは、公正処理基準(法人税法22条4項)に合致しない。過去の事業年度の収益に関する変動は、原則として当該事由が生じた日の属する事業年度の損失とする「前期損益修正」によるべきである。
問題の所在(論点)
制限超過利息の受領が法律上の原因を欠く不当利得であり、後に破産手続等で返還すべきことが確定した場合、当該受領時の属する事業年度に遡って益金の額を減額修正できるか。特に、法人が破産手続下にあることが公正処理基準の解釈に影響を及ぼすか。
規範
法人税法上の所得計算は、継続的な経済活動を人為的に区切った「事業年度」を単位として行われる。企業会計原則等における過去の損益計算を遡って修正しない仕組み(前期損益修正)は、この期間単位の計算を前提としており、法人税法22条4項の「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準(公正処理基準)」に合致する。破産手続開始後であっても、別段の定めがない限り、この原則に対する例外は許容されない。
事件番号: 平成21(行ツ)73 / 裁判年月日: 平成23年9月22日 / 結論: 棄却
所得税に係る長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額につき他の各種所得の金額から控除する損益通算を認めないこととした平成16年4月1日施行に係る平成16年法律第14号による改正後の租税特別措置法31条の規定を,同年1月1日以後に個人が行う同条1項所定の土地等又は建物等の譲渡について適用するものとしている平成16年法律…
重要事実
消費者金融業者クラヴィスは、制限超過利息を各事業年度の益金に算入して法人税の申告を行っていた。その後、同社は破産手続開始の決定を受け、破産手続において多額の過払金返還請求権(破産債権)が確定した。破産管財人(被上告人)は、この確定により過去の収益が遡及的に消滅したとして、過去の事業年度の法人税につき更正の請求(国税通則法23条1項1号等)を行ったが、税務署長は「前期損益修正」によるべきとして更正を拒否する通知処分をした。
あてはめ
法人税法は事業年度ごとに所得を計算し、確定した決算に基づく申告を求めている。制限超過利息の返還義務が事後的に確定したとしても、それは「事由の生じた日の属する事業年度の損失」として処理する(前期損益修正)のが公正処理基準に合致する。法人税法は、欠損金の繰越し等、事業年度を超えた調整については個別具体的な規定を設けており、破産法人についてもこれらの規定が適用されることを前提としている。したがって、破産手続中であることや現に配当がなされたことを理由に、特段の規定なく遡及的な修正を行うことは、法人税法が定める期間計算の原則に反し、認められない。
結論
遡及的な減額計算を前提とする更正の請求は、国税通則法23条1項1号の要件を満たさず、認められない。したがって、更正をすべき理由がない旨の各通知処分は適法である。
実務上の射程
法人税法22条4項(公正処理基準)の解釈において、期間計算の原則と「前期損益修正」の優越性を強調した判例である。法人の清算・破産といった特殊な状況下にあっても、明文の規定がない限り、過年度の確定した申告を遡及的に訂正(過年度修正)することは極めて困難であることを示している。
事件番号: 平成21(行ツ)173 / 裁判年月日: 平成23年9月30日 / 結論: 棄却
所得税に係る長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額につき他の各種所得の金額から控除する損益通算を認めないこととした平成16年4月1日施行に係る平成16年法律第14号による改正後の租税特別措置法31条の規定を,同年1月1日以後に個人が行う同条1項所定の土地等又は建物等の譲渡について適用するものとしている平成16年法律…
事件番号: 昭和44(行ツ)22 / 裁判年月日: 昭和49年5月30日 / 結論: 棄却
旧法人税法(昭和二二年法律第二八号)一三条一項二号は、法人が合併した場合の清算所得中には、合併の場合に合併法人が納付する被合併法人の清算所得に対する法人税額、その法人税額に係る道府県民税額及び市町村民税額並びに清算所得に対する事業税額に相当する金額を含む趣旨を定めたものと解すべきである。
事件番号: 平成24(行ヒ)408 / 裁判年月日: 平成27年6月12日 / 結論: その他
1 匿名組合契約に基づき匿名組合員が営業者から受ける利益の分配に係る所得は,①当該契約において,匿名組合員に営業者の営む事業に係る重要な意思決定に関与するなどの権限が付与されており,匿名組合員が実質的に営業者と共同して事業を営む者としての地位を有するものと認められる場合には,当該事業の内容に従って事業所得又はその他の各…