旧法人税法(昭和二二年法律第二八号)一三条一項二号は、法人が合併した場合の清算所得中には、合併の場合に合併法人が納付する被合併法人の清算所得に対する法人税額、その法人税額に係る道府県民税額及び市町村民税額並びに清算所得に対する事業税額に相当する金額を含む趣旨を定めたものと解すべきである。
法人が合併した場合に合併法人が納付する被合併法人の清算所得に対する法人税額その法人税額に係る道府県民税額及び市町村民税額並びに清算所得に対する事業税額に相当する金額と旧法人税法(昭和二二年法律第二八号)一三条一項二号
旧法人税法(昭和22年法律第28号)13条1項2号,旧法人税法施行規則(昭和22年勅令第111号)23条の11
判旨
旧法人税法13条1項2号の規定は、法人の合併における清算所得に、合併法人が代わって納付する被合併法人の各種税額相当分を含む趣旨である。これを具体化した施行規則や通達は、法の範囲を逸脱するものではなく、租税法律主義に違反しない。
問題の所在(論点)
旧法人税法13条1項2号の規定内容に対し、施行規則や通達で定められた計算方式が、法律の定めの範囲を逸脱して新たな課税要件を創設したものとして租税法律主義に抵触するか。
規範
法律の規定を具体化し、細目を示す施行規則や通達は、その内容が親法である法律の趣旨に依拠し、その法意の範囲内にある限り、租税法律主義に違反するものではない。法律の委任に基づき、またはその趣旨を具体化する行政立法は、親法の解釈として合理的な範囲に留まる必要がある。
重要事実
上告人は、法人の合併に伴う清算所得に対する更正処分を受けた。旧法人税法13条1項2号では清算所得の計算方法が定められていたが、その詳細な計算方式を規定した旧法人税法施行規則23条の11、およびこれに基づく通達の内容が、法律の範囲を逸脱し、憲法上の租税法律主義に違反するのではないかが争点となった。
事件番号: 令和2(行ヒ)303 / 裁判年月日: 令和4年4月21日 / 結論: 棄却
1 法人税法132条1項にいう「これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」とは、同項各号に掲げる法人である同族会社等の行為又は計算のうち、経済的かつ実質的な見地において不自然、不合理なもの、すなわち経済的合理性を欠くものであって、法人税の負担を減少させる結果となるものをいう。 2 …
あてはめ
旧法人税法13条1項2号は、合併の場合の清算所得に、合併法人が納付すべき被合併法人の法人税・住民税・事業税相当額を含む趣旨であると解される。本件施行規則および通達は、この法律の趣旨を受けて具体的に計算細目を示したものであり、親法の定める事項の範囲を何ら逸脱していない。したがって、法律の委任の範囲内における合理的な細目規定であるといえる。
結論
本件施行規則および通達は旧法人税法の趣旨を逸脱するものではなく、租税法律主義に違反しない。よって、これらに基づく更正処分は適法である。
実務上の射程
行政立法や通達が法律の委任の範囲を逸脱しているか(委任立法論)が問われる事案において、法律の「趣旨を具体化」するものとして許容される限界を示す。租税法の分野において、技術的・細部的な計算規定が親法の予定する範囲内であれば、形式上の明示的な委任がなくとも適法とされる余地を示唆している。
事件番号: 昭和55(行ツ)150 / 裁判年月日: 昭和59年10月25日 / 結論: 棄却
建設資材の製造、販売等を営む同族会社が系列会社に対しその製品を販売した取引につき、販売価額が通常の販売価額の五六ないし五七パーセントで製造原価をも下回るものであるなど原審認定の事実関係(原判決理由参照)があるときは、右取引は、経済的取引として不合理不自然であり、法人税法一三二条一項にいう「法人の行為又は計算で、これを容…
事件番号: 昭和43(行ツ)61 / 裁判年月日: 昭和47年12月5日 / 結論: 棄却
一、法人税青色申告についてした更正処分の通知書に、係争事業年度所得の更正の理由として、「営業譲渡補償金計上もれ一一五五万円」、「認定利息(代表者)計上もれ一万九八三九円」、清算所得の更正の理由として、「代表者仮払金三九万六八九〇円」、「営業譲渡補償金九〇五万円」と記載されているにすぎない場合には、いずれも理由附記として…
事件番号: 昭和62(行ツ)77 / 裁判年月日: 昭和63年3月31日 / 結論: 棄却
収税官吏が犯則嫌疑者に対し国税犯則取締法に基づく調査を行つた場合に、課税庁が右調査により収集された資料を右の者に対する課税処分及び青色申告承認の取消処分を行うために利用することは許される。
事件番号: 昭和27(オ)6 / 裁判年月日: 昭和33年5月29日 / 結論: 棄却
同族会社たる甲株式会社が、乙株式会社の全株式を買収した後乙会社を合併しついで増資した場合に、右買収代金が乙会社の払込済資本金額と積立金額の合計額を超えていても、それだけで、旧法人税法(昭和一五年法律第二五号)第二八条によつて、右超過金額を合併交付金と認定して課税することは違法である