建設資材の製造、販売等を営む同族会社が系列会社に対しその製品を販売した取引につき、販売価額が通常の販売価額の五六ないし五七パーセントで製造原価をも下回るものであるなど原審認定の事実関係(原判決理由参照)があるときは、右取引は、経済的取引として不合理不自然であり、法人税法一三二条一項にいう「法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるとき」にあたる。
同族会社とその系列会社との間の取引が法人税法一三二条一項にいう「法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるとき」にあたるとされた事例
法人税法132条1項
判旨
法人税法132条1項にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」とは、同族会社の行為・計算が経済的合理性を欠き、通常の独立当事者間では行われないような態様であることを指し、これを否認して税負担を適正化できる。
問題の所在(論点)
同族会社が行った取引の内容が、法人税法132条1項に規定される「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に該当するか否か。
規範
法人税法132条1項の「不当に減少させる」とは、その行為・計算が、経済的合理性を欠くこと、すなわち、独立した当事者間で行われる通常の取引態様とは異なり、もっぱら租税回避を目的としていると客観的に認められることをいう。具体的には、通常の経済人の行為として不自然・不合理であり、かつ、その結果として法人税の負担が軽減されている場合に該当する。
重要事実
上告人(同族会社)は、訴外D組との間で取引を行ったが、その取引における行為または計算の内容が、通常の独立当事者間で行われるような経済的合理性を持つものであったかが争点となった。上告人は、当該取引が法人税法132条1項の同族会社の行為計算否認規定の対象とならないと主張して争った。
事件番号: 令和2(行ヒ)303 / 裁判年月日: 令和4年4月21日 / 結論: 棄却
1 法人税法132条1項にいう「これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」とは、同項各号に掲げる法人である同族会社等の行為又は計算のうち、経済的かつ実質的な見地において不自然、不合理なもの、すなわち経済的合理性を欠くものであって、法人税の負担を減少させる結果となるものをいう。 2 …
あてはめ
判決文からは取引の具体的な細部は不明であるが、原審が確定した事実関係に基づけば、上告人とD組との間の取引は、独立した第三者間では通常行われないような非合理的な態様であったと判断される。このような経済的合理性を欠く行為を容認することは、租税負担の公平を著しく害するものであり、同法132条1項の規定にいう「不当に減少させる結果」を招くものと解される。
結論
本件取引は法人税法132条1項にいう「不当に減少させる結果となると認められるもの」に該当し、課税庁による更正処分は適法である。
実務上の射程
同族会社の行為計算否認規定(132条)の解釈における「不当性」の判断基準として、「経済的合理性の有無(独立当事者間基準)」を用いることを確認した事例である。答案作成においては、取引に私法上の効力があっても、税法独自の観点から客観的に不自然な計算がなされていれば否認対象となることを指摘する際に用いる。
事件番号: 昭和50(行ツ)15 / 裁判年月日: 昭和52年7月12日 / 結論: 棄却
いずれも同一の個人の支配する同族会社の一方が他方に金銭の貸付をした場合において、貸付をした会社が、実際には同族会社であるために無利息ないし著しく低率の利息で貸付けたにもかかわらず、会社の損益計算上は通常の金融取引と同程度の利息を未収利息として計上し、その後の事業年度においてこれを貸倒損失として損金処理をしたときは、右貸…
事件番号: 平成27(行ヒ)75 / 裁判年月日: 平成28年2月29日 / 結論: 棄却
1 法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」とは,法人の行為又は計算が組織再編税制に係る各規定を租税回避の手段として濫用することにより法人税の負担を減少させるものであることをいい,その濫用の有無の判断に当たっては,①当該法人の行為又…
事件番号: 平成12(行ヒ)32 / 裁判年月日: 平成16年7月13日 / 結論: 破棄自判
無限連鎖講を主宰していた個人が,その事業主体が法人でない社団で代表者の定めがあるものになったとして,同社団名義で法人税,法人事業税,法人県民税及び法人市民税の申告をした場合につき,外形的事実に着目する限りにおいては,その社団というものが,意思決定機関,業務執行機関,代表機関等の団体としての組織を備え,その意思決定を多数…
事件番号: 平成27(行ヒ)177 / 裁判年月日: 平成28年2月29日 / 結論: 棄却
1 法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」とは,法人の行為又は計算が組織再編税制に係る各規定を租税回避の手段として濫用することにより法人税の負担を減少させるものであることをいい,その濫用の有無の判断に当たっては,①当該法人の行為又…