同族会社たる甲株式会社が、乙株式会社の全株式を買収した後乙会社を合併しついで増資した場合に、右買収代金が乙会社の払込済資本金額と積立金額の合計額を超えていても、それだけで、旧法人税法(昭和一五年法律第二五号)第二八条によつて、右超過金額を合併交付金と認定して課税することは違法である
旧法人税法(昭和一五年法律第二五号)第二八条による同族会社の行為計算の否認が違法とされた一事例
旧法人税法(昭和15年法律25号)28条
判旨
租税回避を目的とした一連の取引であっても、特別の規定がない限り、税体系上許容されない課税を行うことはできず、個別の取引を安易に否認することはできない。
問題の所在(論点)
法律上の特別規定がない状況において、実質的に租税回避を目的としていると目される一連の取引(株式買収、合併、増資)について、その一部(買収代金)を他の中身(合併交付金)と認定し、否認・課税することの可否。
規範
租税法上の「否認」の対象となるか否かは、当該取引の目的のみならず、証拠上の根拠に基づき客観的に認定されるべきであり、かつ、当時の税体系において当該課税を可能とする法律上の特別規定が存在しない限り、恣意的な課税は許されない。
重要事実
当事者間で行われた株式の買収、会社の合併、および増資という一連の行為について、課税当局が税金逋脱(租税回避)の目的があるとして、株式買収代金を合併交付金とみなして課税した事案。なお、当時は昭和19年法律第7号による臨時租税措置法のような特別な規定は施行されていなかった。
あてはめ
まず、株式買収、合併、増資の一連の行為から直ちに税金逋脱の目的があるとは認め難い。次に、買収代金を合併交付金と認定するための証拠上の根拠が欠如している。さらに、特別な租税回避防止規定が存在しない状況で、実質的な判断に基づき買収代金を課税対象とすることは、当時の税体系上許容されない。
結論
本件株式の買収は否認の対象となる行為ではなく、当該代金を課税対象とすることはできない。よって、当局による課税は違法である。
実務上の射程
租税法律主義の観点から、個別具体的な租税回避防止規定(否認規定)がない限り、法形式を越えて課税することは慎重であるべきという指針を示す。実務上は、否認規定の有無とその要件を厳格に検討する際の根拠として用いる。
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