性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項2号は,憲法13条,14条1項,24条に違反しない。
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項2号と憲法13条,14条1項,24条
判旨
性同一性障害特例法3条1項2号が性別の取扱いの変更に「現に婚姻をしていないこと」を要件とする点は、現行の婚姻秩序への配慮に基づく合理的な制限として、憲法13条、14条1項、24条に違反しない。
問題の所在(論点)
性別の取扱いの変更の要件として「現に婚姻をしていないこと」を定める性同一性障害特例法3条1項2号の規定は、憲法13条、14条1項、24条に違反するか。
規範
性同一性障害特例法3条1項2号(婚姻要件)が憲法に適合するかは、当該制限が現在の婚姻秩序の混乱を防止するという目的との関係で、合理性を欠き国会の裁量権の範囲を逸脱しているか否かにより判断される。
重要事実
性同一性障害者である申立人が、性別の取扱いの変更の審判を求めたが、現に婚姻していることを理由に同法3条1項2号に基づき却下された。これに対し、同号は婚姻の自由や平等権を侵害し違憲であると主張して特別抗告を行った。
あてはめ
現行法制下では婚姻は異性間においてのみ認められている。婚姻中の者について性別の変更を認めた場合、結果として同性婚を認めることになり、現在の婚姻秩序に混乱を生じさせかねない。このような配慮に基づく制限は合理性を欠くものとはいえず、国会の裁量権の範囲を逸脱するものとは認められない。
事件番号: 平成30(ク)269 / 裁判年月日: 平成31年1月23日 / 結論: 棄却
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項4号は,憲法13条,14条1項に違反しない。 (補足意見がある。)
結論
本件規定は憲法13条、14条1項、24条に違反せず合憲であるため、特別抗告を棄却する。
実務上の射程
婚姻関係にある性同一性障害者の性別変更を制限する現行規定の合憲性を確認した判決である。婚姻秩序の維持という公的利益を重視する立場を堅持しており、法改正がない限り、婚姻継続中の性別変更は認められないとする実務を確定させている。
事件番号: 令和2(ク)638 / 裁判年月日: 令和3年11月30日 / 結論: 棄却
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項3号は,憲法13条,14条1項に違反しない。 (反対意見がある。)
事件番号: 令和2(ク)993 / 裁判年月日: 令和5年10月25日 / 結論: 破棄差戻
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項4号は、憲法13条に違反する。 (個別意見がある。)
事件番号: 令和2(ク)102 / 裁判年月日: 令和3年6月23日 / 結論: 棄却
民法750条及び戸籍法74条1号は,憲法24条に違反しない。 (補足意見,意見及び反対意見がある。)
事件番号: 昭和26(ク)191 / 裁判年月日: 昭和26年10月17日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告が適法となるのは、法律により特に許された場合に限られ、民事事件においては、原決定の憲法適合性に関する判断を不当とするもの(現行民訴法336条1項に相当)に限られる。 第1 事案の概要:抗告人は、何らかの民事事件の決定に対し、最高裁判所へ抗告を申し立てた。しかし、その抗告理由は…