1 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成26年法律第79号による改正前のもの)2条3項にいう「児童ポルノ」とは,写真,電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって,同項各号のいずれかに掲げる実在する児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいい,実在しない児童の姿態を描写したものは含まない。 2 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成26年法律第79号による改正前のもの)7条5項の児童ポルノ製造罪が成立するためには,同条4項に掲げる行為の目的で,同法2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した物を製造すれば足り,当該物に描写されている人物がその製造時点において18歳未満であることを要しない。 (補足意見がある。)
1 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成26年法律第79号による改正前のもの)2条3項にいう「児童ポルノ」の意義 2 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成26年法律第79号による改正前のもの)7条5項の児童ポルノ製造罪の成立と児童ポルノに描写されている人物がその製造時点において18歳未満であることの要否
児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成26年法律第79号による改正前のもの)2条3項,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成26年法律第79号による改正前のもの)7条5項
判旨
児童ポルノ法上の「児童ポルノ」とは、実在する18歳未満の者の姿態を描写したものを指し、同法7条5項の製造罪の成立には、製造時において描写された人物が18歳未満であることを要しない。
問題の所在(論点)
児童ポルノ法7条5項の製造罪の成否において、①「児童ポルノ」の定義(実在性の要否)および、②製造時において描写対象が18歳未満(児童)であることを要するか(時間的要件)。
規範
児童ポルノ法2条3項にいう「児童ポルノ」とは、実在する18歳未満の児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいい、実在しない児童を描写したものは含まない。また、同法7条5項の児童ポルノ製造罪が成立するためには、提供目的等で当該児童の姿態を描写した物を製造すれば足り、製造時点において描写されている人物が依然として18歳未満であることを要しない。
事件番号: 平成17(あ)1342 / 裁判年月日: 平成18年2月20日 / 結論: 棄却
児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる姿態を児童にとらせ,これを電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が,当該電磁的記録を別の記録媒体に記憶させて児童ポルノを製造する行為は,同法7条3項の児童ポルノ製造罪に当たる。
重要事実
被告人は、昭和57年から59年にかけて出版された写真集に掲載された、実在する18歳未満の児童が全裸で寝転ぶ姿態等の写真3点を素材とし、画像編集ソフトを用いてCGデータ3点を作成した。被告人は、不特定又は多数の者に提供する目的で、当該CGデータを含むファイルをハードディスクに記憶・蔵置させた(本件行為)。弁護人は、製造時において描写対象の人物が18歳未満であることを要すると主張した。
あてはめ
①本件各CGは、実在する児童の姿態を撮影した本件各写真を素材として作成されており、実在する児童の姿態を視覚により認識できる方法で描写したものといえる。②児童ポルノ法は、実在する児童の性的姿態の記録化自体を性的搾取と捉え、記録が他人の目に触れることによる更なる性的搾取から児童を保護する趣旨である。かかる保護利益は、本人が18歳に達した後も引き続き保護に値するものである。したがって、素材となった写真の撮影時に児童であれば、その後の加工・製造時点において本人が18歳以上となっていても、当該製造行為は児童の権利を侵害する製造罪を構成すると解される。
結論
被告人の本件行為は、実在する児童の姿態を描写した物の製造にあたり、製造罪が成立する。上告棄却。
実務上の射程
CG加工やデジタル化の事案において、素材が実在する児童であれば本法の射程に含まれることを示した。特に、製造時に本人が成人していても罪が成立する点は、過去の児童ポルノ素材の再配布・加工を抑止する強力な規範として答案上も重要である。
事件番号: 平成12(あ)1769 / 裁判年月日: 平成14年6月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】児童買春・児童ポルノ禁止法2条3項各号に規定される「性欲を興奮させ又は刺激するもの」という要件は、一般人の通常人が具体的場合に判断可能な基準であり、明確性の原則(憲法31条)等に反しない。 第1 事案の概要:被告人は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(児童ポルノ禁…
事件番号: 平成31(あ)506 / 裁判年月日: 令和元年11月12日 / 結論: 棄却
ひそかに児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が,当該電磁的記録を別の記録媒体に記録させて児童ポルノを製造する行為は,同法7条5項の児童ポルノ製造罪に当たる。
事件番号: 平成23(あ)1567 / 裁判年月日: 平成24年6月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】児童買春・児童ポルノ禁止法が児童ポルノに係る行為等を処罰することは、児童に対する性的搾取・虐待が児童の権利を著しく侵害する重大性に鑑み、児童の権利を擁護する目的によるものであって、憲法13条及び24条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に…
事件番号: 平成21(あ)2082 / 裁判年月日: 平成24年7月9日
【結論(判旨の要点)】インターネット上のウェブページに第三者が公然陳列している児童ポルノのURLを掲載する行為は、児童ポルノ法7条4項の「公然と陳列」したに該当する。 第1 事案の概要:被告人は、共犯者と共謀の上、共犯者が開設した掲示板サイトに、第三者が他のウェブページ上に公然陳列していた児童ポルノのURLを掲載した。…