児童ポルノのURLをホームページ上に明らかにした行為は,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条4項の「公然と陳列した」には当たらないとする反対意見が付された事例
児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条4項,刑訴法411条1項
判旨
インターネット上のウェブページに第三者が公然陳列している児童ポルノのURLを掲載する行為は、児童ポルノ法7条4項の「公然と陳列」したに該当する。
問題の所在(論点)
児童ポルノが掲載された外部ウェブサイトのURLを自らのウェブページ上に掲載する行為が、児童ポルノ法7条4項の「公然と陳列」したに該当するか。
規範
「公然と陳列」とは、不特定又は多数の者が児童ポルノを認識できる状態に置くことをいい、特段の行為を要することなく直ちに認識できる状態にすることまでを要しない。ウェブページ上にURLを掲載し、利用者が当該URLをクリックすることで、リンク先の画像データを特段の困難なく閲覧できる状態に置くことは、当該画像データを「公然と陳列」したと同視できる。
重要事実
被告人は、共犯者と共謀の上、共犯者が開設した掲示板サイトに、第三者が他のウェブページ上に公然陳列していた児童ポルノのURLを掲載した。その際、単なる転載にとどまらず、掲示板のシステムに適合させるべくURLの一部を改変する等の操作を行っていた。これにより、当該掲示板の閲覧者は、掲載されたURLをクリックするだけで、リンク先の児童ポルノ画像を容易に閲覧できる状態にあった。
あてはめ
被告人の行為により、掲示板の閲覧者は、アドレスバーへの手入力等の煩雑な操作を要さず、リンクをクリックするという簡便な操作のみで、直ちに第三者の管理する児童ポルノ画像を閲覧できる状態に置かれたといえる。これは、被告人自らが画像データを自己のサーバーに保存して公開する場合と実質的に異ならず、不特定多数の者が児童ポルノを認識できる状態に置いたものと評価できる。したがって、直接的な画像データのアップロード行為がなくても、本件URLの掲載行為は「公然と陳列」に該当する。
事件番号: 平成12(あ)1769 / 裁判年月日: 平成14年6月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】児童買春・児童ポルノ禁止法2条3項各号に規定される「性欲を興奮させ又は刺激するもの」という要件は、一般人の通常人が具体的場合に判断可能な基準であり、明確性の原則(憲法31条)等に反しない。 第1 事案の概要:被告人は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(児童ポルノ禁…
結論
被告人の行為には児童ポルノ公然陳列罪(児童ポルノ法7条4項)が成立する。
実務上の射程
本決定は、インターネット上の「リンク」を貼る行為がわいせつ物等の公然陳列罪の正犯となり得ることを認めた重要判例である。あてはめでは、リンク先へのアクセスの容易性や、閲覧に要する操作の簡便性を強調することがポイントとなる。なお、反対意見は、URL掲載は情報の提示に過ぎず幇助にとどまるべきと主張しており、罪刑法定主義の観点からの批判がある点にも留意が必要である。
事件番号: 平成17(あ)1342 / 裁判年月日: 平成18年2月20日 / 結論: 棄却
児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる姿態を児童にとらせ,これを電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が,当該電磁的記録を別の記録媒体に記憶させて児童ポルノを製造する行為は,同法7条3項の児童ポルノ製造罪に当たる。
事件番号: 平成18(あ)1249 / 裁判年月日: 平成20年3月4日 / 結論: 棄却
児童ポルノを日本国内で運営されているインターネット・オークションに出品して不特定の者から入札を募り,外国から日本に居る落札者にあてて児童ポルノを郵便に付して送付した場合,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条6項,4項所定の児童ポルノを不特定の者に提供する目的で外国から輸出したものといえ…
事件番号: 平成20(あ)1703 / 裁判年月日: 平成21年7月7日 / 結論: 棄却
1 児童ポルノを,不特定又は多数の者に提供するとともに,不特定又は多数の者に提供する目的で所持した場合,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条4項の児童ポルノ提供罪と同条5項の同提供目的所持罪とは併合罪の関係にある。 2 児童ポルノであり,かつ,刑法175条のわいせつ物である物を,不特定…
事件番号: 平成29(あ)242 / 裁判年月日: 令和2年1月27日 / 結論: 棄却
1 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成26年法律第79号による改正前のもの)2条3項にいう「児童ポルノ」とは,写真,電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって,同項各号のいずれかに掲げる実在する児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいい,実在しない児童の…