刑事施設の長は,死刑確定者が親族以外の者との間で発受する信書につき,刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律139条1項2号所定の用務の処理のために必要な記述部分のほかに,そのために必要とはいえない記述部分もある場合には,同項3号又は同条2項によりその発受を許すべきものと認められるときを除き,同条1項に基づき,同部分の発受を許さないこととしてこれを削除し,又は抹消することができる。
死刑確定者が親族以外の者との間で発受する信書につき刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律139条1項2号所定の用務の処理のために必要とはいえない記述部分がある場合に,同部分の発受を許さないこととしてこれを削除し又は抹消することの可否
刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律139条
判旨
刑事施設の長は、死刑確定者が親族以外の者との間で発受する信書につき、重大用務処理(刑事収容施設法139条1項2号)のために必要とはいえない記述部分が含まれる場合には、同項3号又は同条2項により許可すべき場合を除き、当該部分を削除・抹消して交付することができる。
問題の所在(論点)
死刑確定者が親族以外の者と発受する信書において、重大用務処理(刑事収容施設法139条1項2号)のために必要な部分とそれ以外の記述が混在する場合に、後者の部分を削除・抹消して交付する措置の適法性。
規範
刑事収容施設法139条1項2号は、死刑確定者であっても重大用務処理を妨げられるべきではないとの考慮に基づく。死刑確定者の拘置の趣旨(執行までの身柄確保と社会隔離)に鑑みれば、重大用務処理のために必要とはいえない記述部分まで同号により発受を許すべき理由はない。したがって、刑事施設の長は、当該必要のない部分について、同法139条1項3号又は2項に該当しない限り、同条1項に基づき発受を許さないものとして削除・抹消できる。その削除等の手法については、施設の管理運営上の負担等を考慮し、裁量権の逸脱・濫用がない限り適法となる。
事件番号: 平成7(行ツ)66 / 裁判年月日: 平成11年2月26日 / 結論: 棄却
東京拘置所に収容されている死刑確定者が新聞社にあてて投稿文を発送することの許可を求めたのに対し、東京拘置所長が、死刑確定者の心情の安定にも十分配慮して、死刑の執行に至るまでの間、社会から厳重に隔離してその身柄を確保するとともに、拘置所内の規律及び秩序が放置することができない程度に害されることがないようにするために、これ…
重要事実
死刑確定者である被上告人に対し、親族以外の知人から訴訟書類の写し等を送付する信書が届いた。当該信書には、訴訟に関する記述(重大用務処理)のほか、「時候の挨拶」および「謝意・激励」の記述(本件記述部分)が含まれていた。拘置所長は、本件記述部分について同法139条1項各号に該当せず、同条2項の事情もないと判断し、当該部分を物理的に切り取って(削除)交付した。当時の大阪拘置所では日々大量の信書を処理しており、抹消作業には相当の負担を伴う状況であった。
あてはめ
本件信書の差出人は親族ではなく、本件記述部分は時候の挨拶や激励であって、訴訟遂行等の「重大用務処理」のために必要なものとはいえない。また、心情の安定に資する等の事情(同条1項3号、2項)もうかがわれない。さらに、大量の信書を処理する拘置所の実務上の負担に照らせば、判読不能にするための抹消ではなく物理的な「削除」という手法を選択したことも、裁量権の範囲内といえる。したがって、所長が当該部分の受信を拒否し削除したことに違法はない。
結論
本件削除措置は適法であり、取消請求および国家賠償請求はいずれも棄却される。
実務上の射程
死刑確定者の外部交通制限の合理性を認めつつ、信書の一部分のみを対象とした受信拒否(一部削除)を肯定した。特に、事務負担を理由とした「削除」手法の裁量を認めた点に実務上の意義がある。
事件番号: 昭和38(オ)149 / 裁判年月日: 昭和38年4月19日 / 結論: 棄却
現在の法令による死刑執行方法の違法を主張して、死刑執行の言渡処分の取消、同言渡処分の無効確認等を求める訴は不適法である。