現在の法令による死刑執行方法の違法を主張して、死刑執行の言渡処分の取消、同言渡処分の無効確認等を求める訴は不適法である。
死刑執行の言渡処分の取消、無効確認の訴の適否。
行政事件訴訟特例法1条
判旨
行政事件訴訟をもって死刑の執行方法や執行権の存否を争うことは、実質的に刑事判決の取消しや変更を求めるものであり、不適法として許されない。
問題の所在(論点)
死刑判決の執行に関する不服を、行政事件訴訟(取消訴訟、無効確認訴訟、義務付け訴訟等)の手続きによって争うことができるか。
規範
行政訴訟をもって刑事判決の効力やその内容である刑の執行について争うことは、実質上、行政事件訴訟をもって刑事判決の取消し、変更を求めるものに他ならず、現行法上、不適法な訴えとして許されない。
重要事実
強盗致死被告事件により死刑判決が確定した上告人が、拘置所長および国に対し、現行の死刑執行方法による執行の言渡処分の取消し、無効確認、同執行をしてはならない旨の義務確認、および執行権の不存在確認等を求めて行政訴訟を提起した事案である。
あてはめ
事件番号: 昭和35(オ)1359 / 裁判年月日: 昭和36年12月5日 / 結論: その他
現在の法令による死刑執行方法の違法を主張して、死刑を執行される義務を負わないことの確認を求める訴は不適法である。
上告人は、死刑の執行方法や執行の義務の存否を争っているが、これは確定した「被告人を死刑に処する」という刑事判決の法的効果そのものを否定し、その内容を変更しようとするものである。このような刑事裁判の帰結を争う手段は刑事訴訟法等の定める手続(再審や刑の執行停止等)によるべきであり、行政訴訟の枠組みでこれを行うことは刑事裁判の既判力や効力秩序を乱すものといえる。
結論
本件訴えは不適法であり、上告を棄却する。
実務上の射程
刑事手続の法的安定性と行政訴訟の対象(処分性・司法審査の範囲)に関する判例。刑事裁判の執行段階における不服申立ては刑事訴訟法の手続に委ねられており、行政訴訟による「刑事判決の実質的変更」は許されないという一般原則を構成する際に引用される。
事件番号: 昭和38(オ)969 / 裁判年月日: 昭和41年4月15日 / 結論: 棄却
一 上告状についての印紙追貼命令およびこれに従わないことによる上告状却下命令に対する不服は、民訴法所定の手続によるべく、審級の定めから上訴による不服申立のみちがない場合においても、行政事件訴訟をもつてその救済を求めることは許されない。 二 訴を不適法でその欠缺を補正しがたいものと認め民訴法第二〇二条により口頭弁論を経な…
事件番号: 昭和38(オ)1306 / 裁判年月日: 昭和41年4月14日 / 結論: 棄却
上告状についての印紙追貼命令およびこれに関連する措置等に対する救済は、民事訴訟法所定の不服申立方法によるべく、審級その他の定めから上訴による不服申立のみちのない場合においても、これに裁判所法第八二条に基づく司法行政監督上の措置を求めることはできない。