一 選挙関係訴訟においては、選挙人は当事者たる都道府県選挙管理委員会に補助参加するこができる。 二 Dなる候補者がある場合でも「Dバカ」と記載し抹消してEなる候補者氏名を記載した投票は無効である。
一 選挙関係訴訟における選挙人の都道府県選挙管理委員会え補助参加の許否 二 「Dバカ」と記載しこれを抹消して候補者氏名を記載した投票の効力
民訴法64条,公職選挙法207条1項,公職選挙法68条1項5号
判旨
投票用紙に候補者以外の氏名を誤記して抹消し、改めて候補者名を記載した投票は原則有効だが、抹消部分が特定の候補者に対する侮蔑的表現である場合は、公職選挙法68条5号の「他事を記載したもの」として無効となる。
問題の所在(論点)
投票用紙に候補者への侮蔑的文言(「Dバカ」)を記載し、これを抹消した上で正しい候補者名を記載した場合、公職選挙法68条5号の「他事を記載したもの」に該当し無効となるか。
規範
公職選挙法68条5号は、候補者の氏名のほか「他事を記載したもの」を無効と規定する。もっとも、氏名の誤記を抹消して正しく記載し直したと認められる場合は、有効投票として扱うべきである(同法67条参照)。しかし、記載された内容が単なる誤記の範囲を超え、他事記載に該当する場合には、同法68条が優先的に適用され、当該投票は無効となる。
重要事実
ある選挙において、投票用紙に「Dバカ」と記載されていたものが抹消され、その横に「E」という候補者名が記載された投票があった。この投票について、Eへの有効投票として認めるべきか、あるいは他事記載として無効とすべきかが争われた。
あてはめ
本件投票において抹消されている「Dバカ」という文言は、特定の候補者に対する侮辱を表現するものであり、客観的に見て、単に候補者の氏名を書き間違えた(誤記した)ものとは到底認められない。したがって、このような記載は単なる訂正のプロセスに含まれるものではなく、同法68条5号にいう「他事」の記載にあたると評価される。同法67条後段の有効解釈の規定も、68条の規定に反しない限りにおいて適用されるものであるため、本件には適用されない。
結論
本件投票は公職選挙法68条5号の「他事を記載したもの」に該当し、無効である。
実務上の射程
自書式投票における有効・無効の境界を示す射程を持つ。単なる「書き損じの訂正」であれば有効だが、そこに政治的主張や感情的表現(誹謗中傷等)が混入し、それが誤記の範囲を逸脱していると判断される場合には、一律に無効とされる。答案上は、記載された文言が「候補者を特定するための付随的記載(有効)」か「他事記載(無効)」かを区別する際の考慮要素として、表現の性質を論じる際に活用できる。
事件番号: 昭和28(オ)832 / 裁判年月日: 昭和29年6月15日 / 結論: 破棄自判
一 候補者氏名敬称の下に「に」を記載した投票は無効である。 二 村議会議員選挙で県議会議員選挙の投票用紙を用いた投票は、かりに右投票用紙が選挙事務従事者から交付されたものであつても、無効である。