最高裁判所裁判官国民審査法36条の審査無効訴訟において,審査人は,同法37条1項所定の審査無効の原因として,年齢満18歳及び満19歳の日本国民につき衆議院議員の選挙権を有するとしている公職選挙法9条1項の規定の違憲を主張することができない。
最高裁判所裁判官国民審査法36条の審査無効訴訟において審査人が同法37条1項所定の審査無効の原因として年齢満18歳及び満19歳の日本国民につき衆議院議員の選挙権を有するとしている公職選挙法9条1項の規定の違憲を主張することの可否
最高裁判所裁判官国民審査法4条,最高裁判所裁判官国民審査法36条,最高裁判所裁判官国民審査法37条1項,公職選挙法9条1項
判旨
国民審査法36条の審査無効訴訟において、同法37条1項に規定される無効原因は、審査の管理執行の手続に関する明文規定の違反、または国民審査制度の基本理念が著しく阻害される場合に限られる。したがって、18歳及び19歳の者に選挙権を付与した公職選挙法の規定が違憲であるとの主張は、同法37条1項所定の無効原因に当たらない。
問題の所在(論点)
国民審査法36条の審査無効訴訟において、審査権の付与根拠となる公職選挙法(本件規定)の違憲性を、同法37条1項所定の「審査無効の原因」として主張できるか。
規範
国民審査法37条1項にいう審査無効の原因とは、主として審査の管理執行事務を担う機関が「法律又はこれに基づいて発する命令に違反すること」があるとき、又は、直接の明文規定はないが「憲法において定められた国民審査制度の基本理念が著しく阻害されるとき」を指す。
重要事実
上告人は、18歳及び19歳の日本国民に衆議院議員の選挙権を認める公職選挙法9条1項(本件規定)が憲法15条3項に違反すると主張。国民審査法4条により、本件規定に基づき18歳・19歳の者が審査権を行使して行われた最高裁判所裁判官国民審査は無効であるとして、同法36条に基づき審査無効訴訟を提起した。
あてはめ
審査無効訴訟は民衆訴訟(行政事件訴訟法5条、42条)であり、法律に定める原因に限り提起できる。同法37条1項の無効原因は、審査手続の明文違反や制度の基本理念を著しく阻害する場合に限定されるべきである。本件において、18歳・19歳の者に選挙権を認めた規定が違憲であるという主張は、審査事務の執行手続の瑕疵や審査制度の基本理念を阻害する事由には該当しないため、同項所定の無効原因とはいえない。
結論
国民審査法37条1項所定の審査無効の原因として、公職選挙法の規定の違憲を主張することはできない。
実務上の射程
選挙無効訴訟(公選法204条等)や審査無効訴訟における「無効の原因」の解釈を示す。選挙管理執行の瑕疵や制度の根幹を揺るがす重大な瑕疵に限定する判例法理を再確認したものであり、実務上、個別の選挙権付与規定の違憲性を無効訴訟の枠組みで争うことの困難さを示唆している。
事件番号: 昭和24(オ)332 / 裁判年月日: 昭和27年2月20日 / 結論: 棄却
一 最高裁判所裁判官任命に関する国民審査の制度は、国民が裁判官を罷免すべきか否かを決定する趣旨であつて、裁判官の任命を完成させるか否かを審査するものではない。 二 最高裁判所裁判官国民審査法は、憲法第七九条、第一九条、第二一条に違反しない。 三 最高裁判所裁判官国民審査の審査公報には、裁判官の取り扱つた裁判上の意見を具…