選挙の効力について異議、訴願をしその決定、裁決を受けても、当選の効力に関する訴訟を提起することはできない。
選挙の効力について異議、訴願をしその決定、裁決を受けた後の当選訴訟の適否
公職選挙法202条,公職選挙法203条,公職選挙法206条,公職選挙法207条
判旨
地方公共団体の議会議員の当選の効力に関する訴訟においては、公職選挙法が定める異議の申立ておよび審査請求(旧訴願)の裁決等を経ることが必要であり、選挙の効力に関する手続を経たとしても、当選の効力に関する前置手続を履践したことにはならない。
問題の所在(論点)
地方公共団体の議員の「当選の効力」を争う訴訟において、同法が定める「選挙の効力」に関する前置手続を経ている場合であっても、別途「当選の効力」に関する行政上の前置手続を履践する必要があるか。
規範
地方公共団体の議会の議員の当選の効力に関する訴訟については、公職選挙法207条2項等により異議の申立ておよび審査請求(旧訴願)の前置主義が採用されている。そのため、たとえ「選挙の効力」に関する異議の申立てや裁決等を受けていたとしても、それをもって「当選の効力」に関する前置手続を履践したものとみなすことはできない。
重要事実
上告人は、昭和26年4月に行われた千葉市議会議員選挙における特定の当選者たちの当選無効を求めて提訴した。しかし、上告人は本訴提起前に、公職選挙法207条2項および203条2項(当時の規定)に基づく「当選の効力」に関する異議の申立てに対する決定、およびそれに対する審査請求(旧訴願)の裁決を受けていなかった。
あてはめ
本件において、上告人は当選の無効を求めているが、その前提となる当選の効力に関する異議申立ておよび裁決の手続を欠いている。公職選挙法上、選挙自体の有効性を争う「選挙の効力」に関する手続と、特定の者の当選を争う「当選の効力」に関する手続は峻別されており、前者の手続を経たからといって後者の手続を免れるものではない。したがって、法が定める適法な前置手続を欠く本訴は、訴訟要件を満たさない不適法なものであるといえる。
結論
本件訴訟は、必要な行政上の前置手続を経ていないため、不適法として却下されるべきである。
実務上の射程
選挙訴訟における行政不服申立ての前置(公選法207条等)の厳格性を確認する判例。選挙の効力(202条)と当選の効力(206条・207条)は別個の不服申立て対象であることを意識し、実務上も対象を特定した適切な手続履践が必須であることを示す。答案上は、訴訟要件の充足性を論じる際に用いる。
事件番号: 昭和36(オ)672 / 裁判年月日: 昭和36年10月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】選挙が無効となるためには、選挙規定の違反が結果に異動を及ぼすおそれがある場合に限られる。また、明文規定がなくとも、選挙の自由公正が著しく害された場合には選挙無効の事由となり得る。 第1 事案の概要:上告人は、現行の公職選挙法制度全体に憲法の基本路線を逸脱する欠陥があること、および、候補者が公営立会…
事件番号: 昭和27(オ)914 / 裁判年月日: 昭和28年2月17日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】選挙無効の訴えを提起するには、公職選挙法の規定に基づき、適法な異議の申立て及び審査の申立てを経ることを要する。前置手続を欠く選挙無効の請求は不適法であり、裁判所は当選訴訟として主張された原因のみを審査すれば足りる。 第1 事案の概要:上告人は、本件選挙について選挙無効及び当選無効を主張して訴えを提…