公職選挙法204条の選挙無効訴訟において,選挙人は,同法205条1項所定の選挙無効の原因として同法10条1項2号の規定の違憲を主張することができない。
公職選挙法204条の選挙無効訴訟において選挙人が同法205条1項所定の選挙無効の原因として同法10条1項2号の規定の違憲を主張することの可否
公職選挙法10条1項2号,公職選挙法204条,公職選挙法205条1項
判旨
公職選挙法204条の選挙無効訴訟において、選挙人が被選挙権の年齢制限(30歳以上)を定めた同法10条1項2号の違憲を主張して選挙の無効を争うことは、法律上予定されていない。
問題の所在(論点)
選挙人が公職選挙法204条の選挙無効訴訟において、被選挙権の制限を定める規定(30歳以上という年齢制限)の違憲性を、同法205条1項にいう「選挙の規定に違反すること」として主張できるか。
規範
公職選挙法205条1項の「選挙の規定に違反することがあるとき」とは、選挙管理機関が選挙執行手続に関する明文規定に違反する場合、または選挙の自由公正の原則が著しく阻害される場合を指す。選挙無効訴訟は投票結果の効力を争う手続であり、特定の被選挙権制限規定の違憲性は、当該訴訟において選挙人が主張し得る無効原因には含まれない。
重要事実
上告人(選挙人)が、参議院議員の被選挙権を30歳以上の者に限る公職選挙法10条1項2号(本件規定)は憲法に違反し、これにより選挙が無効であると主張して、同法204条に基づき民衆訴訟としての選挙無効訴訟を提起した事案。原審は本件規定の違憲主張を認めなかったため、上告人が上告した。
あてはめ
選挙無効訴訟は、選挙人または候補者が投票結果としての選挙の効力を争う方法である。被選挙権の制限に係る規定の合憲性は、制限を受けた本人が自己の権利侵害を理由に争う場合は格別、選挙人が本件訴訟においてこれを争うことは制度上予定されていない。したがって、本件規定が憲法に違反するとの主張は、同法205条1項所定の「無効原因」には該当しない。
結論
選挙人は、選挙無効訴訟において被選挙権制限規定の違憲を無効原因として主張することはできず、上告は棄却される。
実務上の射程
選挙無効訴訟の客観的訴訟としての性質を明確にした判例。選挙無効の原因となる「規定違反」には、実体法上の被選挙権要件の違憲性は含まれないことを示しており、答案上は無効原因の解釈(205条1項)において主張の許容性を否定する文脈で使用する。
事件番号: 昭和32(オ)1126 / 裁判年月日: 昭和33年3月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】投票立会人に候補者の親戚や選挙運動員を選任したとしても、直ちに選挙の公正を著しく害するとはいえない。また、注文外の投票用紙の印刷等の事態があっても、具体的な不正の証拠がなく、選挙の結果に異動を及ぼすおそれがない限り、選挙を無効とはしない。 第1 事案の概要:上告人は、市町村議会等の選挙において、(…
事件番号: 昭和38(オ)1081 / 裁判年月日: 昭和39年2月26日 / 結論: 棄却
一 公職選挙法第二〇四条によつて、訴訟を提起できる選挙人は、その属する選挙区の選挙人に限られる。 二 所属選挙区以外の選挙区の選挙の効力について訴訟の提起をゆるさないと解しても、憲法第三二条に違反しない。