離婚訴訟の被告が,原告は第三者と不貞行為をした有責配偶者であると主張して,その離婚請求の棄却を求めている場合において,上記被告が上記第三者を相手方として提起した上記不貞行為を理由とする損害賠償請求訴訟は,人事訴訟法8条1項にいう「人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求に係る訴訟」に当たる。
離婚訴訟において原告と第三者との不貞行為を主張して請求棄却を求めている被告が上記第三者を相手方として提起した上記不貞行為を理由とする損害賠償請求訴訟の人事訴訟法8条1項にいう「人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求に係る訴訟」該当性
人事訴訟法8条1項,民法1条2項,民法770条
判旨
不貞行為を理由とする損害賠償請求訴訟は、当該不貞行為が離婚訴訟における有責配偶者の主張の根拠となっている場合、人事訴訟法8条1項にいう「人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求に係る訴訟」に該当する。
問題の所在(論点)
離婚訴訟の被告が、原告の不貞相手(第三者)に対して提起した損害賠償請求訴訟は、人事訴訟法8条1項にいう「人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求に係る訴訟」に当たるか。
規範
人事訴訟法8条1項の趣旨は、人事訴訟と審理が重複する損害賠償請求訴訟について、当事者の立証の便宜および訴訟経済の観点から、家庭裁判所での併合審理を可能にする点にある。したがって、離婚訴訟において有責配偶者である旨の主張の根拠とされる事実は、同項にいう「人事訴訟に係る請求の原因である事実」に含まれると解すべきである。
重要事実
1. 原告が被告に対し、離婚訴訟を提起した。 2. 離婚訴訟の被告は、原告が第三者と不貞行為をした有責配偶者であると主張して、請求棄却を求めた。 3. 上記被告は、不貞の相手方である第三者に対し、当該不貞行為を理由とする損害賠償請求訴訟を地方裁判所に提起した。 4. 当該損害賠償請求訴訟について、人事訴訟法8条1項に基づく家庭裁判所への移送の可否が争点となった。
事件番号: 昭和58(ク)292 / 裁判年月日: 昭和59年1月30日 / 結論: 棄却
離婚の訴えの管轄を定めた人事訴訟手続法一条一項の規定は、憲法三二条に違反しない。
あてはめ
本件では、離婚訴訟の被告が「原告が第三者と不貞行為をした有責配偶者である」と主張し、離婚請求の棄却を求めている。この場合、第三者に対する不貞慰謝料請求訴訟の主要事実は、離婚訴訟における「有責性」という抗弁の存否を判断するための事実と共通しており、審理が重複する関係にあるといえる。このような関係性は、立証の便宜や訴訟経済を図るという同条の趣旨に合致する。したがって、本件訴訟は同項の定める移送対象の訴訟に当たると評価される。
結論
本件損害賠償請求訴訟は人事訴訟法8条1項の訴訟に該当し、相当と認めるときは家庭裁判所へ移送することができる。
実務上の射程
離婚訴訟の当事者間(夫婦間)の慰謝料請求だけでなく、不貞相手という第三者に対する請求についても、離婚訴訟の争点(有責性)と事実関係が共通する場合には、本条による移送が認められる範囲に含まれることを明確にした。
事件番号: 平成23(許)4 / 裁判年月日: 平成23年5月18日 / 結論: 破棄自判
民訴法38条後段の要件を満たす共同訴訟であって,いずれの共同訴訟人に係る部分も受訴裁判所が土地管轄権を有しているものについて,同法7条ただし書により同法9条の適用が排除されることはない。
事件番号: 平成1(行ト)2 / 裁判年月日: 平成元年6月8日 / 結論: 棄却
行政庁を被告とする取消訴訟の管轄を定めた行政事件訴訟法一二条の規定は、憲法三二条に違反しない。
事件番号: 平成23(許)13 / 裁判年月日: 平成23年5月30日 / 結論: 破棄自判
民訴法38条後段の要件を満たす共同訴訟であって,いずれの共同訴訟人に係る部分も受訴裁判所が土地管轄権を有しているものについて,同法7条ただし書により同法9条の適用が排除されることはない。
事件番号: 平成20(許)21 / 裁判年月日: 平成20年7月18日 / 結論: 破棄自判
地方裁判所にその管轄区域内の簡易裁判所の管轄に属する訴訟が提起され,被告から同簡易裁判所への移送の申立てがあった場合において,同申立てを却下する旨の判断は,民訴法16条2項の規定の趣旨にかんがみ,広く当該事件の事案の内容に照らして地方裁判所における審理及び裁判が相当であるかどうかという観点からされるべきであり,地方裁判…