刑訴法435条1号にいう「確定判決」の意義
刑訴法435条1号
判旨
刑事訴訟法435条1号にいう「確定判決」に、民事の和解調書等は含まれない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法435条1号に規定される再審事由としての「確定判決」に、民事の確定判決や和解調書等が含まれるか。
規範
刑事訴訟法435条1号が「確定判決」を再審事由とする趣旨は、刑事裁判の基礎となった他の裁判の判断が確定判決により否定された場合に、事実誤認の蓋然性が高いとして救済を図る点にある。ここでの「確定判決」とは、同法の文脈及び再審制度の性質に鑑み、原則として刑事の確定判決を指すものと解すべきである。したがって、民事の確定判決や、これと同一の効力を有する和解調書等は、同号にいう「確定判決」には含まれない。
重要事実
本件は、再審請求者が刑事訴訟法435条1号に基づき、民事上の和解調書等を理由として再審を請求した事案である。原審は、当該和解調書等が同号の「確定判決」に該当しないとして請求を棄却したため、特別抗告人が憲法違反及び法令違反を理由に抗告を申し立てた。
あてはめ
本件において、抗告人が再審の根拠として主張する対象は、民事上の和解調書等である。しかし、刑事訴訟法435条1号の「確定判決」は、刑事裁判の誤判を是正するための高度な蓋然性を要求する趣旨から、刑事の確定判決に限定される。民事和解は当事者の合意に基づくものであり、刑事訴追に関する事実認定を拘束する性質のものではない。したがって、民事の和解調書等は同号の要件を充足しないといえる。
事件番号: 昭和54(し)94 / 裁判年月日: 昭和54年9月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】有罪の確定判決に対しどの限度で再審請求を許すかは、もっぱら立法政策の問題であり、刑事訴訟法435条6号の規定が憲法31条、32条に違反することはない。 第1 事案の概要:有罪の確定判決を受けた被告人が、再審事由を規定する刑事訴訟法435条6号の文言ないし運用が憲法31条および32条に違反する旨を主…
結論
本件抗告は、刑事訴訟法433条の抗告理由に当たらず、民事和解を理由とする再審請求は認められないため、棄却されるべきである。
実務上の射程
刑事訴訟法435条1号の解釈、再審事由の限定性、民事裁判と刑事再審の関係。
事件番号: 昭和43(し)89 / 裁判年月日: 昭和43年11月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求において、刑訴法435条各号に該当する事由が認められない場合には、請求を棄却した原決定は正当であり、憲法32条違反等の主張は前提を欠く。 第1 事案の概要:抗告人は、確定判決に対して再審を申し立てたが、原決定により棄却された。これに対し、抗告人は、憲法31条(適正手続き)、32条(裁判を受…
事件番号: 昭和34(し)3 / 裁判年月日: 昭和34年2月19日 / 結論: 棄却
再審請求の目手となつた確定判決に関与した裁判官は再審請求事件の裁判に関与することを妨げるものではない。
事件番号: 平成28(し)639 / 裁判年月日: 平成29年3月31日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】再審請求において、確定判決の証拠関係を覆すような新証拠(供述録取書等)が提出された場合、裁判所は、単に書面の内容のみからその信用性を肯定して再審を開始するのではなく、事実取調べ(証人尋問等)を通じて新証拠の作成経緯や客観的証拠との整合性を十分に吟味すべきであり、これを怠って再審開始を認めることは審…
事件番号: 昭和33(し)14 / 裁判年月日: 昭和33年5月27日 / 結論: 棄却
一 確定判決に対する再審を開始するか否かの手続は、憲法にいう「裁判の対審」に当たらない 二 刑訴法第四三五条第六号にいう「明らかな証拠」というのは証拠能力もあり証明力も高度のものをいい、被告人が弁護人に宛てた書信の如きを含まない 三 同条同号の「原判決において認めた罪より軽い罪」というのは法定刑の軽い罪をいい、心神耗弱…