判旨
再審請求において、刑訴法435条各号に該当する事由が認められない場合には、請求を棄却した原決定は正当であり、憲法32条違反等の主張は前提を欠く。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法435条各号に規定される再審事由が認められるか、および原決定による棄却が憲法31条、32条、38条3項に違反するか。
規範
再審の請求が認められるためには、刑事訴訟法435条各号に規定された再審事由(有罪の言渡を受けた者に対して利益となるべき証拠の新規性・明白性等)のいずれかに該当することが必要である。これら法定の再審事由を見出すことができない限り、確定判決に対する再審の申立ては法的に理由がないものと判断される。
重要事実
抗告人は、確定判決に対して再審を申し立てたが、原決定により棄却された。これに対し、抗告人は、憲法31条(適正手続き)、32条(裁判を受ける権利)、38条3項(自白の補強証拠)の違反等を主張して特別抗告を申し立てた。
あてはめ
記録を精査しても、刑事訴訟法435条各号に該当する事由は一切見出せない。このため、再審請求を認めなかった原決定の判断に誤りはない。抗告人が主張する憲法32条違反は、再審事由の存在を前提とするものであるが、その前提を欠いている。また、憲法31条違反の主張は単なる訴訟法違反の主張にすぎず、憲法38条3項違反の主張は法の誤解に基づくものであって、いずれも主張自体が失当である。
結論
本件再審請求には法定の事由が認められないため、抗告を棄却する。
実務上の射程
再審請求事由の厳格な該当性判断を前提とする実務上の運用を確認するものである。答案上は、再審請求の可否が問われた際に、まずは刑事訴訟法435条の各号該当性を検討すべきであることを示す基礎的な確認として機能する。
事件番号: 昭和43(し)34 / 裁判年月日: 昭和43年11月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法433条に基づく特別抗告において、実質的に単なる訴訟法違反を主張するものは、同条所定の抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人が刑事訴訟法433条に基づき特別抗告を申し立てた事案。抗告人はその理由として憲法違反を主張していたが、その主張の実質は訴訟法違反を指摘するものであった。…
事件番号: 平成7(し)75 / 裁判年月日: 平成11年3月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求において提出された新証拠について、その明白性を否定して再審請求を棄却した原決定の判断は正当である。特別抗告における憲法違反や判例違反の主張が実質的に事実誤認や単なる法令違反にすぎない場合は、適法な抗告理由に当たらない。 第1 事案の概要:申立人は、確定判決に対する再審請求を行い、その際に新…
事件番号: 昭和63(し)28 / 裁判年月日: 平成4年9月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求において提出された新証拠の新規性または明白性が否定される場合には、刑訴法435条6号に規定する再審事由を欠くものとして、再審請求を棄却すべきである。 第1 事案の概要:抗告人(再審請求人)は、確定判決に対する再審を請求し、その根拠として複数の証拠を提出した。原決定は、これらの証拠について検…
事件番号: 昭和63(し)124 / 裁判年月日: 平成3年3月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求における「無罪を言い渡すべき明確な証拠」の該否判断は事実認定の問題であり、これを憲法違反や判例違反と強弁しても、特別抗告の適法な理由には当たらない。 第1 事案の概要:申立人らは、旧刑訴法下での有罪確定判決に対し再審を請求した。その際、警察官による拷問の事実を肯定した別事件(特別公務員暴行…
事件番号: 昭和54(し)94 / 裁判年月日: 昭和54年9月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】有罪の確定判決に対しどの限度で再審請求を許すかは、もっぱら立法政策の問題であり、刑事訴訟法435条6号の規定が憲法31条、32条に違反することはない。 第1 事案の概要:有罪の確定判決を受けた被告人が、再審事由を規定する刑事訴訟法435条6号の文言ないし運用が憲法31条および32条に違反する旨を主…