横浜事件再審請求特別抗告審決定
刑訴法施行法2条,刑訴応急措置法18条,旧刑訴法485条
判旨
再審請求における「無罪を言い渡すべき明確な証拠」の該否判断は事実認定の問題であり、これを憲法違反や判例違反と強弁しても、特別抗告の適法な理由には当たらない。
問題の所在(論点)
再審事由である「無罪を言い渡すべき明確な証拠」に該当しないとした原決定の判断に対し、憲法違反や判例違反を理由に特別抗告を申し立てることが許されるか。
規範
特別抗告が認められるためには、原決定において憲法解釈の誤りがあること、または最高裁判所の判例と相反する判断がなされたことが必要である。単なる事実誤認や、再審事由(旧刑訴法485条6号等)の解釈適用の誤りを主張するものは、適法な抗告理由を構成しない。
重要事実
申立人らは、旧刑訴法下での有罪確定判決に対し再審を請求した。その際、警察官による拷問の事実を肯定した別事件(特別公務員暴行傷害事件)の確定判決を新証拠として提出したが、原審はこれが「無罪を言い渡すべき明確な証拠」に当たらないと判断した。これに対し、申立人らは憲法13条、31条、32条、36条、38条違反等を理由に特別抗告を申し立てた。
あてはめ
申立人の主張のうち、憲法13条、31条、32条違反の主張は、提出証拠の「明確性」に関する原審の評価を論難するにすぎず、原決定自体が憲法判断を行っていないため不適法である。また、拷問事実を認定した確定判決を証拠として考慮しなかったとする憲法36条、38条違反の主張も、その実態は事実誤認および旧刑訴法485条6号の解釈適用の誤りをいう単なる法令違反の主張に留まる。判例違反やその他の法令違反の主張も、特別抗告の要件を満たす具体的根拠を欠いている。
事件番号: 昭和54(し)94 / 裁判年月日: 昭和54年9月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】有罪の確定判決に対しどの限度で再審請求を許すかは、もっぱら立法政策の問題であり、刑事訴訟法435条6号の規定が憲法31条、32条に違反することはない。 第1 事案の概要:有罪の確定判決を受けた被告人が、再審事由を規定する刑事訴訟法435条6号の文言ないし運用が憲法31条および32条に違反する旨を主…
結論
本件各抗告は、いずれも刑訴応急措置法18条所定の適法な抗告理由に当たらないため、棄却される。
実務上の射程
再審における新証拠の評価という実質的な不服を、形式的に憲法違反(正当な手続の欠如等)に引き直して主張しても、最高裁は門前払いする姿勢を示している。答案上は、特別抗告の限定的な性格を説明する際の補足的材料として用いる。
事件番号: 昭和43(し)89 / 裁判年月日: 昭和43年11月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求において、刑訴法435条各号に該当する事由が認められない場合には、請求を棄却した原決定は正当であり、憲法32条違反等の主張は前提を欠く。 第1 事案の概要:抗告人は、確定判決に対して再審を申し立てたが、原決定により棄却された。これに対し、抗告人は、憲法31条(適正手続き)、32条(裁判を受…
事件番号: 平成7(し)75 / 裁判年月日: 平成11年3月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求において提出された新証拠について、その明白性を否定して再審請求を棄却した原決定の判断は正当である。特別抗告における憲法違反や判例違反の主張が実質的に事実誤認や単なる法令違反にすぎない場合は、適法な抗告理由に当たらない。 第1 事案の概要:申立人は、確定判決に対する再審請求を行い、その際に新…
事件番号: 昭和63(し)28 / 裁判年月日: 平成4年9月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求において提出された新証拠の新規性または明白性が否定される場合には、刑訴法435条6号に規定する再審事由を欠くものとして、再審請求を棄却すべきである。 第1 事案の概要:抗告人(再審請求人)は、確定判決に対する再審を請求し、その根拠として複数の証拠を提出した。原決定は、これらの証拠について検…
事件番号: 平成3(し)43 / 裁判年月日: 平成3年6月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法違反を主張して特別抗告がなされた場合であっても、その実質が単なる法令違反の主張にすぎないときは、刑事訴訟法433条の抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対し憲法11条、31条、32条違反を主張して特別抗告を申し立てた。しかし、その主張の具体的な内容は、実質的には法令の…