いわゆる日産サニー再審請求事件(強盗殺人等)
判旨
再審請求において提出された新証拠について、その明白性を否定して再審請求を棄却した原決定の判断は正当である。特別抗告における憲法違反や判例違反の主張が実質的に事実誤認や単なる法令違反にすぎない場合は、適法な抗告理由に当たらない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法435条6号にいう「証拠の明白性」の有無、および刑事訴訟法433条所定の特別抗告の理由に該当するか否か。
規範
刑事訴訟法435条6号の「証拠が明白であるとき」とは、確定判決の認定を覆し、被告人に無罪、免訴、刑の免除、あるいは原判決よりも軽い罪を認めるべき高度の蓋然性が認められる場合をいう。また、同法433条に基づく特別抗告においては、憲法違反または判例違反のみが理由となり、単なる事実誤認や法令違反は理由とすることができない。
重要事実
申立人は、確定判決に対する再審請求を行い、その際に新証拠を提出した。原決定(下級審)は、当該新証拠には確定判決を覆すに足りる明白性がないと判断して再審請求を棄却した。これに対し、申立人は憲法違反および判例違反を理由に特別抗告を申し立てた。
あてはめ
申立人が提出した新証拠は、記録に照らしても確定判決の事実認定を揺るがすほどの明白性を備えているとはいえない。また、申立人が主張する憲法違反および判例違反は、その実質において原決定の事実認定の誤りや単なる法令違反を指摘するものにすぎず、特別抗告の限定的な適格性を満たしていない。
結論
本件再審請求を棄却した原決定は正当であり、本件抗告は適法な抗告理由を欠くため棄却される。
事件番号: 昭和54(し)109 / 裁判年月日: 昭和55年12月11日 / 結論: 棄却
本件事案(原判文参照)につき請求人提出にかかる証拠の新規性及び明白性を認めて再審請求を認容すべきものとした原決定の判断は、是認することができる。
実務上の射程
再審における「白鳥・財田川裁定」以降の「疑わしきは被告人の利益に」という原則に基づく新証拠の明白性判断(限定的再審の許容)を確認する事例である。答案作成上は、特別抗告の理由が厳格に制限されている点、および再審請求における新証拠の明白性判断の手法の論述において、原決定の正当性を支持する文脈で使用する。
事件番号: 昭和63(し)28 / 裁判年月日: 平成4年9月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求において提出された新証拠の新規性または明白性が否定される場合には、刑訴法435条6号に規定する再審事由を欠くものとして、再審請求を棄却すべきである。 第1 事案の概要:抗告人(再審請求人)は、確定判決に対する再審を請求し、その根拠として複数の証拠を提出した。原決定は、これらの証拠について検…
事件番号: 昭和29(し)39 / 裁判年月日: 昭和29年9月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求における「明らかな証拠をあらたに発見したとき」(刑訴法435条6号)の該否が争われた事案において、提出された証拠が確定判決を覆すべき証拠の明白性を欠く場合には再審理由に当たらないと判断した。 第1 事案の概要:再審請求人(特別抗告人)は、Aの自供書、BおよびCの各証明書を「明らかな証拠」と…
事件番号: 昭和43(し)89 / 裁判年月日: 昭和43年11月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求において、刑訴法435条各号に該当する事由が認められない場合には、請求を棄却した原決定は正当であり、憲法32条違反等の主張は前提を欠く。 第1 事案の概要:抗告人は、確定判決に対して再審を申し立てたが、原決定により棄却された。これに対し、抗告人は、憲法31条(適正手続き)、32条(裁判を受…
事件番号: 昭和63(し)124 / 裁判年月日: 平成3年3月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求における「無罪を言い渡すべき明確な証拠」の該否判断は事実認定の問題であり、これを憲法違反や判例違反と強弁しても、特別抗告の適法な理由には当たらない。 第1 事案の概要:申立人らは、旧刑訴法下での有罪確定判決に対し再審を請求した。その際、警察官による拷問の事実を肯定した別事件(特別公務員暴行…