刑訴法四三五条六号の規定違憲(憲法三一条、三二条違反)の主張が「欠前提」とされた事例
憲法31条,憲法32条,刑訴法435条6号
判旨
有罪の確定判決に対しどの限度で再審請求を許すかは、もっぱら立法政策の問題であり、刑事訴訟法435条6号の規定が憲法31条、32条に違反することはない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法435条6号が定める再審事由の限定、あるいは同条の解釈・適用が、憲法31条(適正手続の保障)および憲法32条(裁判を受ける権利)に違反するか。
規範
有罪の確定判決に対する再審請求の許容範囲およびその要件の設定は、立法府の広範な裁量に委ねられた立法政策の問題である。したがって、特定の再審事由の限定が直ちに適正手続(憲法31条)や裁判を受ける権利(同32条)を侵害するものとは解されない。
重要事実
有罪の確定判決を受けた被告人が、再審事由を規定する刑事訴訟法435条6号の文言ないし運用が憲法31条および32条に違反する旨を主張し、特別抗告を申し立てた事案である。
あてはめ
確定判決の安定性と真実発見の要請の調和を図る再審制度において、いかなる事由をもって再審を認めるかは立法府の裁量的判断に属する。刑事訴訟法435条6号が再審事由を一定の範囲に限定しているとしても、それは合理的な立法政策の範囲内といえる。ゆえに、憲法31条や32条が保障する基本的権利を侵害しているとの主張は、前提を欠くものである。
事件番号: 昭和63(し)124 / 裁判年月日: 平成3年3月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求における「無罪を言い渡すべき明確な証拠」の該否判断は事実認定の問題であり、これを憲法違反や判例違反と強弁しても、特別抗告の適法な理由には当たらない。 第1 事案の概要:申立人らは、旧刑訴法下での有罪確定判決に対し再審を請求した。その際、警察官による拷問の事実を肯定した別事件(特別公務員暴行…
結論
刑事訴訟法435条6号が憲法31条、32条に違反するという主張は理由がなく、本件抗告は棄却される。
実務上の射程
再審制度が「恩恵的」な性格を持つ立法政策の産物であることを示した点に意義がある。答案上は、再審事由の限定が直ちに違憲とはならないことを端的に論述する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和43(し)89 / 裁判年月日: 昭和43年11月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求において、刑訴法435条各号に該当する事由が認められない場合には、請求を棄却した原決定は正当であり、憲法32条違反等の主張は前提を欠く。 第1 事案の概要:抗告人は、確定判決に対して再審を申し立てたが、原決定により棄却された。これに対し、抗告人は、憲法31条(適正手続き)、32条(裁判を受…
事件番号: 昭和33(し)14 / 裁判年月日: 昭和33年5月27日 / 結論: 棄却
一 確定判決に対する再審を開始するか否かの手続は、憲法にいう「裁判の対審」に当たらない 二 刑訴法第四三五条第六号にいう「明らかな証拠」というのは証拠能力もあり証明力も高度のものをいい、被告人が弁護人に宛てた書信の如きを含まない 三 同条同号の「原判決において認めた罪より軽い罪」というのは法定刑の軽い罪をいい、心神耗弱…
事件番号: 昭和55(し)91 / 裁判年月日: 昭和55年11月13日 / 結論: 棄却
一 被害者が身体傷害を承諾した場合に傷害罪が成立するか否かは、単に承諾が存在するという事実だけでなく、右承諾を得た動機、目的、身体傷害の手段、方法、損傷の部位、程度など諸般の事情を照らし合せて決すべきである。 二 過失による自動車衝突事故であるかのように装い保険金を騙取する目的で、被害者の承諾を得てその者に故意に自己の…
事件番号: 平成30(し)584 / 裁判年月日: 平成31年2月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法435条1号にいう「確定判決」に、民事の和解調書等は含まれない。 第1 事案の概要:本件は、再審請求者が刑事訴訟法435条1号に基づき、民事上の和解調書等を理由として再審を請求した事案である。原審は、当該和解調書等が同号の「確定判決」に該当しないとして請求を棄却したため、特別抗告人が憲法…