1 東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号)が,平成29年7月2日施行の東京都議会議員一般選挙当時,島部選挙区をいわゆる特例選挙区として存置していたことは,公職選挙法271条に違反していたものとはいえない。 2 東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号)の議員定数配分規定は,平成29年7月2日施行の東京都議会議員一般選挙当時,公職選挙法15条8項に違反していたものとはいえない。 3 東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号)が,平成29年7月2日施行の東京都議会議員一般選挙当時,島部選挙区をいわゆる特例選挙区として存置していたことは,憲法14条1項等に違反していたものとはいえない。 4 東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号)の議員定数配分規定は,平成29年7月2日施行の東京都議会議員一般選挙当時,憲法14条1項等に違反していたものとはいえない。 (1~4につき意見がある。)
1 東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号)におけるいわゆる特例選挙区の存置の適法性 2 東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号)の議員定数配分規定の適法性 3 東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号)におけるいわゆる特例選挙区の存置の合憲性 4 東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号)の議員定数配分規定の合憲性
(1,3につき) 公職選挙法15条1項,公職選挙法15条2項,公職選挙法271条,東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号)2条3項 (2,4につき) 公職選挙法15条8項,東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号)3条 (3,4につき) 憲法14条1項,憲法15条1項,,憲法15条3項,憲法92条,憲法93条
判旨
東京都議会議員選挙の区割り及び定数配分において、島部を特例選挙区として存置し、かつ一定の投票価値の較差が生じている状態は、行政上の必要性や地理的特殊性等の諸要素に照らし、議会の合理的な裁量権の範囲内として公職選挙法及び憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
1. 配当基数が0.5を著しく下回る島部選挙区を特例選挙区として存置することが、公職選挙法271条及び憲法14条1項等に違反するか。 2. 1対2.48の投票価値の較差及び逆転現象を含む定数配分規定が、公職選挙法15条8項及び憲法14条1項等に違反するか。
規範
都道府県議会議員の選挙区及び定数配分の合憲性は、議会の判断が当該都道府県の実情を考慮し、全体の調和ある発展を図る等の観点からする裁量権の合理的な行使として是認できるか否かにより決すべきである。特に、公職選挙法271条の特例選挙区は、行政上の代表確保の必要性や合区の困難性を総合判断すべきだが、配当基数が0.5を著しく下回る場合には合理的裁量の限界を超えていると推定される。また、定数配分における投票価値の較差については、人口比例を基本としつつ、地域間の均衡を図るため通常考慮し得る諸要素を斟酌してもなお一般的に合理性を有しない程度に達し、正当化すべき特段の理由がない場合に、裁量権の逸脱となる。
重要事実
平成29年施行の東京都議会議員選挙において、本件条例は島しょ部を特例選挙区(島部選挙区)として存置した。同選挙区の配当基数は0.249であり、0.5を大きく下回っていた。また、定数配分規定により、特例選挙区を除く選挙区間の最大較差は1対2.48、逆転現象は6通り存在していた。原告は、これらが公職選挙法15条8項、271条及び憲法14条1項等に違反すると主張して選挙無効を求めた。
あてはめ
1. 島部選挙区について:島しょ部は離島として特有の行政需要があり、代表確保の必要性が高い。また地理的状況から合区が地続きの場合に比して相当困難である。配当基数は0.25を下回るが、これらの特殊性を考慮すれば、存置が社会通念上著しく不合理とはいえず、裁量権の推定を覆す特段の事情があるとして裁量の範囲内と認められる。 2. 定数配分について:最大較差1対2.48は、前回選挙時の特例選挙区を含めた較差(1対3.21)より縮小しており、逆転現象も12通りから6通りに減少するなど改善傾向にある。これらは地域間の均衡を図るための裁量の範囲内であり、一般的に合理性を欠く程度に達しているとはいえない。
結論
本件条例の選挙区割及び定数配分規定は、公職選挙法及び憲法14条1項等に違反せず、本件選挙は有効である。
実務上の射程
地方議会選挙における較差については、国政選挙よりも地域代表的な性格が強いことを踏まえ、議会の広い裁量を認める。特に特例選挙区において「0.5」という数値基準を下回る場合であっても、島嶼部のような極めて顕著な地理的・行政的特殊性がある場合には、例外的に裁量の範囲内とされる余地を示した。答案上は、まず0.5の基準を示しつつ、個別具体的な合区の困難性を詳細に検討する枠組みとして活用すべきである。
事件番号: 平成11(行ツ)271 / 裁判年月日: 平成12年4月21日 / 結論: 棄却
一 千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭和四九年千葉県条例第五五号)が、平成一一年四月一一日施行の千葉県議会議員選挙当時、海上郡、匝瑳郡、勝浦市の三選挙区をいわゆる特例選挙区として存置していたことは、適法である。 二 千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭和四九年千葉県条例第五五号)の議員定数配分規定は、平成一一…