一 千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭和四九年千葉県条例第五五号)が、平成三年四月七日施行の千葉県議会議員選挙当時、海上郡、匝瑳郡、勝浦市の三選挙区を特例選挙区として存置していたことは、適法である。 二 千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭和四九年千葉県条例第五五号)の議員定数配分規定は、平成三年四月七日施行の千葉県議会議員選挙当時、公職選挙法一五条七項に違反していたものとはいえない。 三 千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭和四九年千葉県条例第五五号)が、平成三年四月七日施行の千葉県議会議員選挙当時、海上郡、匝瑳郡、勝浦市の三選挙区を特例選挙区として存置していたことは、憲法一四条一項に違反するものとはいえない。 (二につき補足意見がある。)
一 千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭和四九年千葉県条例第五五号)におけるいわゆる特例選挙区の存置の適法性 二 千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭和四九年千葉県条例第五五号)の議員定数配分規定の適法性 三 千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭和四九年千葉県条例第五五号)におけるいわゆる特例選挙区の存置の合憲性
千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭和49年千葉県条例第55号)1条,千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭和49年千葉県条例第55号)2条,公職選挙法15条1項,公職選挙法15条2項,公職選挙法15条7項,公職選挙法271条2項,憲法14条1項
判旨
都道府県議会議員選挙における特例選挙区の設置及び議員定数配分は、議会の合理的裁量に委ねられるが、配当基数が0.5を著しく下回る場合は裁量の限界を超えたものと推定される。本件では、配当基数が0.36以上であり、最大較差が1対3.48にとどまることから、裁量権の範囲内として合憲・適法とされた。
問題の所在(論点)
1. 公選法271条2項に基づく特例選挙区の設置が、都道府県議会の合理的裁量の範囲内か。 2. 特例選挙区を含む定数配分規定により生じた投票価値の不平等が、憲法14条1項および公選法15条7項に違反するか。
規範
1. 特例選挙区の設置(公選法271条2項)は、地域代表確保の必要性や合区の困難性を総合判断する都道府県議会の政策的裁量に委ねられる。ただし、配当基数(選挙区人口/議員1人当たり人口)が0.5を著しく下回る場合は、合理的裁量の限界を超えたものと推定される。 2. 定数配分規定(公選法15条7項)が投票価値の平等(憲法14条1項)に反するかは、地域間の均衡等、通常考慮し得る要素を斟酌してもなお一般的に合理性を有しない程度に達しているか否かで判断し、その程度に達している場合は、正当化すべき特別の理由がない限り裁量の限界を超える。
重要事実
千葉県議会議員選挙において、県議会は条例を改正し、海上郡、匝瑳郡、勝浦市の3選挙区を特例選挙区(定数各1)として存置した。当時の配当基数は、海上郡・匝瑳郡が約0.36、勝浦市が約0.42であった。特例選挙区を含む全選挙区間の議員1人あたりの人口最大較差は1対3.48(匝瑳郡対柏市)であり、逆転現象も生じていたが、顕著な逆転現象は解消されていた。上告人らは、この定数配分が憲法14条1項および公選法に違反すると主張した。
あてはめ
1. 本件3選挙区の配当基数は0.36〜0.42であり、0.5を著しく下回る(裁量の限界を超える)程度には至っていない。また、人口移動の特殊性や地域代表確保の要請を考慮して存置したことに著しい不合理は認められず、裁量権の範囲内である。 2. 特例選挙区の存置が適法である以上、それに伴い一定の較差が生じることは制度上不可避である。本件の最大較差1対3.48は、地域間の均衡を図るための諸要素を考慮すれば、一般的に合理性を有しない程度に達しているとはいえず、合理的裁量の範囲内といえる。
結論
本件条例の定数配分規定は、公選法271条2項、15条7項、および憲法14条1項に違反せず、適法である。
実務上の射程
地方議会議員の定数配分に関するリーディングケース。特例選挙区(一人区)の維持について「配当基数0.5」を重要な指標としつつ、都道府県議会の広範な裁量を認めている。国政選挙の定数訴訟と比較し、地域代表的性格が強く肯定される点に注意が必要である。
事件番号: 平成4(行ツ)172 / 裁判年月日: 平成5年10月22日 / 結論: 破棄自判
一 公職選挙法二七一条二項に基づくいわゆる特例選挙区の設置の適否は、当該都道府県の行政施策の遂行上当該地域から代表を確保する必要性隣接の郡市との合区の困難性の有無・程度等に照らし、当該都道府県全体の調和ある発展を図るなどの観点からする都道府県議会の判断力が裁量権の合理的な行使として是認されるかどうかによって決するほかは…