一 千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭和四九年千葉県条例第五五号)が、平成一一年四月一一日施行の千葉県議会議員選挙当時、海上郡、匝瑳郡、勝浦市の三選挙区をいわゆる特例選挙区として存置していたことは、適法である。 二 千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭和四九年千葉県条例第五五号)の議員定数配分規定は、平成一一年四月一一日施行の千葉県議会議員選挙当時、公職選挙法一五条八項に違反していたものとはいえない。 (一、二につき反対意見がある。)
一 千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭和四九年千葉県条例第五五号)におけるいわゆる特例選挙区の存置の適法性 二 千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭和四九年千葉県条例第五五号)の議員定数配分規定の適法性
公職選挙法15条1項、公職選挙法15条2項、公職選挙法15条8項・公職選挙法271条2項 千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭和49年千葉県条例第55号)1条・千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭和49年千葉県条例第55号)2条
判旨
都道府県議会議員選挙における特例選挙区の存置及び定数配分の適法性は、議会の裁量権の合理的行使として是認できるか否かにより決すべきである。配当基数が0.5を著しく下回らない限り、地域的特殊性等を考慮した特例選挙区の存置は適法であり、最大格差1対3.73程度の不平等も裁量の範囲内として是認される。
問題の所在(論点)
1. 配当基数が0.5を下回る選挙区を特例選挙区として存置することが、公職選挙法271条2項に違反しないか(特例選挙区の存置と議会の裁量)。 2. 最大格差1対3.73の定数配分が、同法15条8項の人口比例原則に違反しないか(投票価値の平等と議会の裁量)。
規範
1. 特例選挙区(公職選挙法271条2項)の存置の適否は、人口の急激な変動への対応、地域的まとまりの尊重、住民意思の反映という法の趣旨に照らし、議会の裁量権の合理的行使として是認されるか否かにより決する。ただし、配当基数が0.5を著しく下回る場合は認められない。 2. 定数配分(同法15条8項)の適法性は、人口比例原則を基本としつつも、同項但書の地域間均衡の考慮を含め、議会の裁量権の合理的行使として是認されるかにより決する。不平等が、諸般の要素を考慮してもなお一般的に合理性を有しない程度に達していない限り、裁量の範囲内となる。
重要事実
千葉県議会は、平成10年の条例改正において、海上郡(配当基数0.374)、匝瑳郡(0.375)、勝浦市(0.411)の3選挙区を特例選挙区として存置した。存置の理由は、行政需要、地域の特殊性、議員選出の歴史的経緯、首都近郊地域との均衡等であった。この結果、選挙区間の最大人口格差は1対3.73となり、逆転現象も生じていた。これに対し、本件選挙の無効を求めて上告がなされた。
あてはめ
1. 特例選挙区について:対象3選挙区の配当基数は0.374〜0.411であり、0.5を「著しく下回る」程度には至っていない。また、行政需要や歴史的経緯等の考慮は、法の趣旨に照らし社会通念上著しく不合理とはいえず、裁量権の合理的行使として是認できる。 2. 定数配分について:最大格差1対3.73は、特例選挙区制度の存在や地域間均衡を図る必要性を考慮すれば、直ちに一般的合理性を欠く程度に達しているとはいえない。県議会が諸般の要素をしんしゃくした結果として、裁量の範囲内にとどまるものと解される。
結論
本件条例改正による特例選挙区の存置及び定数配分規定は、いずれも議会の裁量権の範囲内であり、公職選挙法に違反せず適法である。
実務上の射程
地方議会選挙における較差の許容範囲を示す重要判例。国政選挙よりも広い議会の裁量を認めており、特に「1対3」を超える格差であっても、特例選挙区制度の趣旨や具体的諸事情(行政需要等)に基づき合理性が認められれば、直ちに違法とはならないとする判断枠組みとして活用できる。
事件番号: 平成11(行ツ)241 / 裁判年月日: 平成12年9月6日 / 結論: 棄却
平成六年法律第四七号による参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の改正の結果、選挙区間において、同二年の国勢調査による人口に基づく議員一人当たりの人口及び右改正当時における議員一人当たりの選挙人数にそれぞれ最大一対四・八一及び最大一対四・九九の較差が残ることとなったとしても、右改正をもって国会の立法裁量権の限界を超…