千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭和四九年千葉県条例第五五号)の議員定数配分規定は、昭和五八年四月一〇日の千葉県議会議員選挙当時、公職選挙法一五条七項に違反していたものである。
千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭和四九年千葉県条例第五五号)の議員定数配分規定の適法性
千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭和49年千葉県条例第55号)2条,公職選挙法15条7項
判旨
地方公共団体の議員定数配分が、地域間の均衡を考慮してもなお一般的合理性を有しない程度に達している場合、合理的期間内に是正されない限り、公選法15条7項に違反する。
問題の所在(論点)
地方議会議員の定数配分規定における投票価値の不平等が、公選法15条7項の許容する裁量の範囲を超え、同条に違反するか。また、事後的な人口変動が生じた場合の違法性判断基準はどうあるべきか。
規範
公選法15条7項は、憲法14条1項の投票価値の平等の要請を受け、人口比例を最も重要かつ基本的な基準としている。定数配分規定が、地域間の均衡を図るため通常考慮し得る諸要素を斟酌してもなお一般的合理性を有しない不平等な状態に達しているときは、合理的裁量の限界を超えているものと推定される。この場合、特別の理由がない限り同項違反となるが、事後的変動により不平等が生じたときは、合理的期間内における是正が行われない場合に初めて違法となる。なお、定数配分規定は不可分一体のものであり、一部の違法は全体に及ぶ。
重要事実
千葉県議会議員の定数配分を定めた本件条例に関し、昭和58年の選挙当時、最大格差は1対6.49に達し、特例選挙区を除いても1対4.58であった。さらに、人口の多い選挙区の定数が少ない選挙区より少ない「逆転現象」も顕著に生じていた。昭和50年の国勢調査時点で既に平等の要請に反する格差が生じていたが、県議会は小規模な修正に留まり、抜本的な格差解消のための是正を行わないまま本件選挙に至った。
あてはめ
本件の最大格差6.49倍や顕著な逆転現象は、地域間の均衡を考慮しても合理的とはいえない程度に達しており、裁量の限界を超えていると推定される。また、昭和50年の調査判明時より格差拡大が予測できたにもかかわらず、約8年間にわたり抜本的是正が放置されたことは、合理的期間内の是正を怠ったものといえる。したがって、本件規定を正当化する特別の理由もなく、同項に違反する。
結論
本件定数配分規定は、本件選挙当時、公選法15条7項に違反しており、不可分一体である規定全体として違法である。
実務上の射程
地方公共団体の定数是正に関するリーディングケースである。国政選挙とは異なり公選法15条7項という具体的規定を根拠とするが、裁量権の限界や合理的期間の法理は国政選挙の違憲審査枠組みと共通しており、答案上もこれに準じて論じることが可能である。
事件番号: 昭和56(行ツ)57 / 裁判年月日: 昭和58年11月7日 / 結論: 破棄自判
公職選挙法一三条、同法別表第一及び同法附則七項ないし九項による選挙区及び議員数の定めは、昭和五五年六月二二日の衆議院議員選挙当時、憲法一四条一項、一五条一項、三項、四四条但し書に違反していたものと断定することはできない。 (補足意見及び反対意見がある。)