詐害行為取消しによる受益者の取消債権者に対する受領済みの金員相当額の支払債務は,履行の請求を受けた時に遅滞に陥る。
詐害行為取消しによる受益者の取消債権者に対する受領済みの金員相当額の支払債務が履行遅滞となる時期
民法412条3項,民法424条1項
判旨
詐害行為取消しによる受益者の金員支払債務は、取消判決の確定により受領時に遡って生じ、履行の請求を受けた時に遅滞に陥る。したがって、訴状により支払を請求した場合には、当該訴状送達の日の翌日から遅延損害金が発生する。
問題の所在(論点)
詐害行為取消しによる受益者の受領金支払債務(価額償還債務等)について、遅延損害金の起算点をいつと解すべきか。特に、判決確定前にされた履行の請求によって遅滞に陥るか、債務の発生時期と履行遅滞の成否が問題となる。
規範
1. 詐害行為取消権は、逸出した財産を回復して債務者の一般財産を保全する制度であるため、その取消しの効果は判決確定により受領時に遡って生じる。 2. 詐害行為取消しによる受益者の受領金支払債務は、期限の定めのない債務である。 3. 当該債務は、詐害行為取消判決の確定前であっても、民法412条3項所定の「履行の請求」を受けた時に遅滞に陥る。
重要事実
債権者である被上告人は、債務者Aが上告人Y1との間で締結した株式売買契約、および上告人Y2との間で締結した贈与契約が詐害行為に当たるとして、各契約の取消しと共に、受領済みの代金相当額および贈与金相当額の支払を求めて提訴した。上告人らは、受領金支払債務は取消判決の確定により初めて発生するものであるから、確定前に履行遅滞に陥ることはなく、訴状送達の翌日から遅延損害金を付した原審の判断には誤りがあると主張して上告した。
あてはめ
1. 詐害行為取消制度の趣旨は、受益者が詐害行為によって財産を逸出させた責任に基づき財産を回復させる点にある。これを踏まえれば、取消しの効果を遡及させ、受益者が受領時からの運用利益を保持することを防ぐべきである。よって、受領金支払債務は判決確定により受領時に遡って生じる。 2. 本件債務は期限の定めのない債務であり、債権者が訴状をもって支払を請求したことは民法412条3項の「履行の請求」に当たる。 3. したがって、訴状送達により履行の請求がなされた以上、その翌日から遅滞に陥ると解するのが相当である。
結論
上告人らの受領金支払債務の遅延損害金の起算日は、各訴状送達の日の翌日である。原審の判断は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
詐害行為取消訴訟において、価額償還や金銭返還を求める際の遅延損害金の請求実務を確立した判例である。答案上は、取消しの遡及効を肯定した上で、412条3項を適用し、実務上一般的な「訴状送達日の翌日」を起算点として導く際に活用する。改正民法下の詐害行為取消権(424条以下)においても、判決確定を要する形成訴訟である点に変わりはなく、本判例の論理は維持される。
事件番号: 昭和41(オ)1241 / 裁判年月日: 昭和42年3月14日 / 結論: 棄却
租税債権は、法律の規定する課税要件事実の存在によつて当然に成立し、課税処分をまたない。