金属スクラップ等の継続的な売買契約において目的物の所有権が売買代金の完済まで売主に留保される旨が定められた場合に,上記契約では,毎月21日から翌月20日までを一つの期間として,期間ごとに納品された金属スクラップ等の売買代金の額が算定され,一つの期間に納品された金属スクラップ等の所有権は,当該期間の売買代金の完済まで売主に留保されることが定められ,これと異なる期間の売買代金の支払を確保するために売主に留保されるものではないこと,売主は買主に金属スクラップ等の転売を包括的に承諾していたが,これは売主が買主に上記契約の売買代金を支払うための資金を確保させる趣旨であると解されることなど判示の事情の下においては,買主が保管する金属スクラップ等を含む在庫製品等につき集合動産譲渡担保権の設定を受けた者は,売買代金が完済されていない金属スクラップ等につき売主に上記譲渡担保権を主張することができない。
金属スクラップ等の継続的な売買契約において目的物の所有権が売買代金の完済まで売主に留保される旨が定められた場合に,買主が保管する金属スクラップ等を含む在庫製品等につき集合動産譲渡担保権の設定を受けた者が,売買代金が完済されていない金属スクラップ等につき売主に上記譲渡担保権を主張することができないとされた事例
民法176条,民法369条(譲渡担保),民法369条(所有権留保)
判旨
継続的な動産の売買契約において、代金完済まで所有権を留保する旨の条項(所有権留保条項)がある場合、その効力は代金完済まで売主に帰属し、買主の債権者が設定した集合動産譲渡担保権に対抗できる。
問題の所在(論点)
継続的売買契約における所有権留保条項がある場合、買主が包括的な転売権限を与えられていたとしても、当該動産につき売主の留保所有権が優先するか。また、買主の債権者が設定した集合動産譲渡担保権の対象となるか(所有権の帰属)。
規範
1. 継続的動産売買契約における所有権留保条項は、目的物の引渡しから代金完済までの間、売買代金の支払を確保する手段として有効であり、原則としてその定めどおり代金完済まで所有権は売主に留保される。 2. 売主が買主に対し、目的物の転売を包括的に承諾していたとしても、それが代金支払のための資金確保を趣旨とするものであるならば、その一事をもって所有権が買主に移転したと解することはできない。
重要事実
1. 売主X(被上告人)と買主Aは、金属スクラップ等の継続的売買契約を締結し、「所有権は代金完済をもってXからAに移転する」との所有権留保条項(本件条項)を設けた。 2. XはAに対し、引渡した動産の転売を包括的に承諾しており、Aは引渡し直後に転売することを常としていた。 3. 一方、Aは金融機関Y(上告人)との間で、Aの工場内の在庫製品等を目的とする集合動産譲渡担保設定契約を締結し、対抗要件(登記)を備えた。 4. その後、Aが代金を完済しないまま事業を停止したため、Xは本件条項に基づき在庫の動産(本件動産)を引き揚げた。 5. Yは、本件条項は形式的なものにすぎず、実質的にはAが所有権を取得しているとして、Yの譲渡担保権が優先すると主張した。
あてはめ
1. 本件条項は、期間ごとに算定される売買代金の支払を確保する手段として設けられたものであり、当該期間の代金が完済されるまではXに所有権を留保する趣旨と解される。 2. XがAに転売を包括的に承諾していた事実は、Aに代金支払原資を確保させるための合理的配慮と評価でき、これによってXが所有権を放棄したりAに移転させたりしたとはいえない。 3. したがって、本件動産の所有権は代金未払である以上、本件条項の定めどおり依然としてXに帰属しているといえる。 4. Yの譲渡担保権は「Aが所有権を取得することになる」動産を目的とするものであるところ、Aは本件動産の所有権を取得していないため、Yは譲渡担保権を主張できない。
結論
本件動産の所有権はXに留保されており、Yは譲渡担保権をXに対抗できない。したがって、Xによる引き揚げは不法行為にも不当利得にも当たらない。
実務上の射程
集合動産譲渡担保権者と所有権留保売主との劣後関係を明確にした。転売権限の付与という実態があっても、特約の文言どおりの所有権留保の効力を肯定した点に実務上の意義がある。
事件番号: 昭和39(オ)590 / 裁判年月日: 昭和39年12月4日 / 結論: 棄却
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