刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律79条1項2号に該当するとして保護室に収容されている未決拘禁者との面会の申出が弁護人又は弁護人となろうとする者からあった場合に,その申出があった事実を未決拘禁者に告げないまま,保護室に収容中であることを理由として面会を許さない刑事施設の長の措置は,未決拘禁者が精神的に著しく不安定であることなどにより同事実を告げられても依然として同号に該当することとなることが明らかであるといえる特段の事情がない限り,未決拘禁者及び弁護人等の接見交通権を侵害するものとして,国家賠償法1条1項の適用上違法となる。 (補足意見がある。)
刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律79条1項2号に該当するとして保護室に収容されている未決拘禁者との面会の申出が弁護人又は弁護人となろうとする者からあった場合に,その申出があった事実を未決拘禁者に告げないまま,保護室に収容中であることを理由として面会を許さない刑事施設の長の措置が国家賠償法1条1項の適用上違法となる場合
刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律79条1項2号,刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律79条4項,刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律115条,刑訴法39条1項,国家賠償法1条1項
判旨
未決拘禁者が保護室収容中であっても、弁護人等からの面会申出があった事実は原則として直ちに告知されるべきであり、告知をしないまま面会を許さない措置は、精神的著しい不安定さ等により告知が実質的に意味をなさないなどの特段の事情がない限り、接見交通権を侵害し違法となる。
問題の所在(論点)
刑事収容施設法79条1項2号に基づき保護室に収容されている未決拘禁者に対し、弁護人等からの面会申出の事実を告知せずに面会を許さない措置を執ることが、接見交通権の侵害として国家賠償法1条1項上違法となるか。
規範
未決拘禁者の接見交通権(刑訴法39条1項)は刑事手続上最も重要な基本的権利であり、未決拘禁者の防御権は特に尊重されなければならない(刑事収容施設法31条、115条)。刑事施設の長は、保護室収容中の未決拘禁者に弁護人等からの面会申出があった場合、未決拘禁者が精神的に著しく不安定であることなどにより、告知を受けても依然として同法79条1項2号の収容要件に該当することが明らかであるといえる「特段の事情」がない限り、直ちにその事実を告知しなければならない。告知に対する反応等を確認した上でなお同号に該当しない場合には、保護室収容を中止し、面会を許さなければならない。
事件番号: 平成10(オ)529 / 裁判年月日: 平成12年9月7日 / 結論: 破棄自判
一 受刑者の提起した民事訴訟事件における右受刑者の訴訟代理人である弁護士が,本人尋問の準備等のために必要であるとして三〇分を超える接見の許可を申請したのに対し,接見時間を三〇分以内に制限して接見を許可した刑務所長の処分は,右受刑者には親族との接見とは別に訴訟代理人である弁護士との間で原則として月二回の接見が許可されてお…
重要事実
被告人として勾留中であったX1は、拘置所内で大声を発し制止に従わなかったため、刑事収容施設法79条1項2号イに基づき保護室に収容された。収容中、弁護人X2が面会を申し出たが、拘置所職員はX1が連日大声を発し続けていたことを理由に、X1に申出の事実を告知することなく、X2に対して保護室収容中であることを理由に面会を拒否した。当時のX1の精神状態の詳細は不明であったが、抗議行動として意図的に発声していた可能性があった。
あてはめ
X1は保護室で大声を発していたが、その精神的不安定の程度は明らかではなく、意図的な抗議行動である余地もあった。この場合、面会申出を告知されれば、弁護人と面会するために大声を発するのをやめるなど、自制して収容要件(79条1項2号)に該当しなくなる可能性を否定できない。したがって、大声を発していたという事情のみでは、告知をしても依然として同号に該当することが明らかであるといえる「特段の事情」があったとは認められない。それにもかかわらず、告知すら行わずに面会を拒否したことは、X1および弁護人X2の接見交通権を侵害するものである。
結論
告知をしないまま面会を許さなかった措置は、特段の事情がない限り国家賠償法1条1項の適用上違法である。原審は特段の事情の有無を十分に審理していないため、破棄差戻しを免れない。
実務上の射程
保護室収容という監獄側の規律維持目的であっても、弁護人接見の重要性に鑑み、安易な告知省略は許されないことを示した。答案上は、接見交通権の重要性と施設の規律維持の調和を図る際の「手続的保障(告知義務)」の要否を判断する枠組みとして活用する。また、補足意見によれば、特段の事情の有無の判断には、カメラ監視だけでなく実際に保護室へ赴いて状況を確認することが実務上求められる。
事件番号: 平成10(オ)528 / 裁判年月日: 平成12年9月7日 / 結論: 棄却
監獄法施行規則一二一条本文、一二七条一項本文は、憲法一三条、三二条に違反しない。
事件番号: 平成5(オ)1485 / 裁判年月日: 平成12年3月17日 / 結論: 棄却
弁護人が警察署に赴き勾留中の被疑者との接見の申出をしたのに対し、申出を受けた留置主任官が、接見の日時等を指定する権限のある検察官から被疑者と弁護人との接見についていわゆる一般的指定書が送付されていたのに弁護人が具体的指定書を所持していなかったので、右検察官に連絡して指示を受けるために三度にわたり検察庁に電話をしたが、右…